【何が起きてる?】半導体不足、自動車産業に甚大な影響 その理由と今後
公開 : 2021.09.02 19:45 更新 : 2021.10.11 13:55
街のディーラー、量販店の声は?
この影響はどう及んでいるのだろうか。
まずは、納車がすでに来年となっている新型ヴェゼルを販売するホンダ系ディーラーを訪ねた。
もちろん、新型ヴェゼルではなく納車が早そうな「Nワゴン」で聞いてみる。すると納車は1か月程度であることが判明。
ただし、それには条件がついた。「カーナビを人気の三菱製8インチでなく、パナソニック製7インチ・モデルにして欲しい」というのだ。さらに、ETC2.0への変更も止めて欲しいとも言われた。
営業マンによれば「新車を購入したい客は多いが、それに十分応えられず経営に与える影響は大きい」と話す。
次にオートバックスへ向かった。まずカーナビを聞いてみると、「7インチ・モデルのエントリー機なら入荷されやすいが、大画面系はほぼ全滅状態で、注文してもいつ入荷されるかわからない」との回答。
ETC車載機も「本部から割り当てられた分が入荷されるだけで、ETC2.0になると入荷はほぼない状態」だという。
一方で状況がいいのはドラレコで、「どのメーカーも比較的落ち着いていて、新製品なども手配はつく」とのことだった。まさに影響は末端にまで及んでいることは間違いないようだ。
まだ見えないか 解消までの道のり
とはいえ、この半導体の需要ひっ迫が落ち着くのはいつ頃なのだろうか。
ルネサスの柴田社長は「今回の需要は“実需”であることは間違いなく、2022年第1四半期でも現在の状況は続いているだろう」と話し、当面は半導体不足が解消する見込みは立っていない状況を説明した。
今後はEVや自動運転車が普及していくことは間違いなく、その需要を考えれば、残念ながら半導体不足が落ち着くことはしばらくはないのだろうと思う。
しかし、このまま半導体不足が続けば、自動車業界のみならず雇用・景気にも甚大な影響を与えることは確かだ。
今後は自動車メーカーが強大な資本力を使い、半導体の製造ラインを直接押さえに行くことも考えられるだろう。
「半導体は産業のコメ」とは以前から言われてきたが、今や自動車産業にとっても半導体は命の糧となった。供給不足が1日も早く解決することを祈りたい。