【大問題に】高級車カーシェア投資の顛末 ギュウギュウ1000坪の駐車場、もぬけの殻に
公開 : 2021.09.01 11:55 更新 : 2022.03.25 18:49
世間を騒がせた一連の高級カーシェア投資。仕組みをおさらいし、その後を追って、問題を浮き彫りにします。
世間騒がせた高級カーシェア投資
昨年10月8日の事業停止発表から2日後、AUTOCAR JAPANが最初に報じたスカイカーシェア問題。
その後、新聞やテレビ、ネットニュースなど多くのメディアがセンセーショナルに報道する動きが加速した。
まずは、改めてスカイカーシェアの投資システムについて説明しておきたい。
1 投資者に説明された「仕組み」
投資者は信販会社又は銀行のローンを利用して購入。つまり資金ゼロでも高級車のオーナー(名前だけ)になることができた。
ほとんどが、クルマも見ることなく契約。納車されなかったケースもある。
契約が成立(=ローン審査が通ってスカイカーシェアや販売店に融資がされる)すると、ローン代金の1割程度、新たに投資者を紹介すると10〜15万円程度の謝礼が受け取れた。
2 投資者にはもたらされるお金
投資者は毎月のローンの返済原資/保険代/駐車場代/諸経費等の全額と、毎月5000円~1万円程度の広告報酬金を、スカイカーシェアから受け取る。
車両がシェアされた場合にはシェア料金の5%程度、また契約終了時(2年または7年)には、クルマをスカイカーシェアに引き渡し、50〜100万円の「満了金」を受け取る。
なお、契約車両はメインとなる4社で構成されるグループに完全に預ける形となり、車両の管理や整備、シェア運用などに投資者が関わることはなかった。
高級ブランドでも価値は低かった
スカイカーシェアの投資に参加した人々の多くはクルマを知らない、興味がない、もちろんローンを組んでクルマを購入したことなどない20〜30代の若者たちだった。
彼らにしてみれば、(実際は100万円以下の価値しかなくても)メルセデス・ベンツやBMW、レクサスなどのブランドと聞けば「高級車」であり、5〜6年落ちの中古車でも500万円以上は当たり前、というイメージだったのかもしれない。
実際に運転することはもちろん、見ることもないクルマであっても、「元手ナシに高級車オーナーになれる!」という誘い文句は魅力的に感じたのだろうか。
「高級車」の中には多走行車や事故車、水没車、盗難車など素性不明の怪しいクルマも少なからず存在していた。ドイツ車やレクサスなどの他に、トヨタ・アルファード/ヴェルファイアなどの人気ミニバンを契約していた人もいた。
それらミニバンの多くはレンタカーとして酷使されたあとの「超多走行車」だった。
また、契約当初は「新車」だと言われて契約し、契約完了後に書類を見たら中古車だったという例も多数ある。
ローンを通すために勝手に年収を水増し(源泉徴収票を偽造)されたり、勤続年数を2〜3倍に水増しされたりした違法な契約がほとんどという話もある。
契約時、メインとなる4社で構成されるグループの営業担当者から「会社が破産してもクルマは残りますから、それを売却すれば十分に残債が支払えますから安心してください。『盗難届』を出して盗難されたことにすれば、保険で車両代金がすべて支払われます」などと、断じてありえないことを言われて騙されて契約させられていた人も少なくないのだ。