【懐古?】「TOYOTA」「SUZUKI」 レトロなローマ字マーク、なぜ復活 ランドクルーザー/ジムニーで
公開 : 2021.09.02 05:45 更新 : 2021.10.13 12:12
トヨタ・ランドクルーザー300系「GRスポーツ」にレトロエンブレムが設定。26年の時を経て復活したワケを考察します。
無骨でタフ ランクル300に「GR」
8月2日に待望の新型が発表となったランドクルーザー。
発表とともに公開となった公式サイトには、早くも「納期1年以上」という案内が掲載されるほどの人気ぶりとなっている。
300系と呼ばれる新型モデルは、歴代と同じく強固なラダーフレームを採用しながらも、トヨタの新世代設計思想であるTNGAを採用したGA-Fプラットフォームを投入。
剛性を確保しながら200kgもの軽量化を実現したことも話題となった。
そんな新型ランドクルーザーの最大のトピックといえるのが、「GRスポーツ」の設定ではないだろうか。
トヨタのスポーツコンバージョンモデルにつけられるブランド名のGRではあるが、今回のランドクルーザーに限ってはサーキットやオンロードの走行性能の向上には主眼が置かれていない。
ではどこにターゲットを絞っているのかというと、それはオフロード走行にほかならないのだ。
そのため、外観もほかのGRスポーツモデルのようにスポーティな外観というよりは、無骨でタフな印象のブラックアウトパーツでまとめられている。
そして、通常のランドクルーザーとGRスポーツの印象を大きく変えているのがフロントグリルに備わるエンブレムだろう。
通常のランドクルーザーにはおなじみのトヨタのCIマークが鎮座しているのだが、GRスポーツには「TOYOTA」と書かれた英文字のエンブレムが備わっているのである。
これは一体どういうことなのだろうか?
すぐさまトヨタ広報部に連絡を取ったが、あいにく担当者が数日間不在ということで、まずはランドクルーザーを多く取り扱っている「FLEX」に話を聞いてみることにした。
ただの懐古趣味ではないのでは?
「FLEX」では良質なランドクルーザーやハイエースの中古車をベースに、レトロ風なテイストを盛り込んだ「Renoca(リノカ)」シリーズをリリースしており、文字エンブレムを装着したモデルも多く存在している。
同社のリノカは、高年式のランドクルーザーをベースにクラシカルな雰囲気の内外装を持つことが最大の特徴で、高年式の高い信頼性をキープしながら、当時の雰囲気が味わえるのが最大のメリットといえる。
ただ、そう考えているのはわれわれのようなカーマニアであって、実際に購入しているユーザーはそればかりでもないらしい。
FLEX株式会社の広報担当、荒氏によると、「リノカをお買い求めいただくお客さまは、そこまでクルマに詳しいわけではなく、たまたま街中や雑誌、メディアなどで見かけたことをきっかけに弊社を見つけて下さる方が意外と多いのです」
「中には中古車ベースではなく、新車で販売していると思ってお見えになる方もいらっしゃるほどですね」とのこと。
つまり、クルマにそこまでの興味のないユーザーからしてみれば、文字エンブレムを装着した車両は懐古趣味ではなく、目新しいクルマに映るというワケなのだ。
「ですからトヨタさんも、過去のモデルのオマージュで新型に文字エンブレムを装着したのではないのかもしれませんね」とは荒氏の談。
なるほどトヨタならもっと深い理由もありそうだ。
また、すでに現行型のジムニーにおいて標準装備ではないものの、ディーラーオプションとして旧型モデルに存在していた「SUZUKI」エンブレムを装着したグリルやデカールなどをラインナップしているスズキは、ジムニーのアクセサリー全体に「ヘリテージ(伝統)」というテーマを持たせているために旧型モチーフのアイテムを設定しているとのことだった。
こちらはディーラーで購入できるアイテムでありながら、車両全体のイメージを大きく変えることができるためユーザーには好評ということで、当時を知るユーザーだけでなく、若いユーザーからすると新鮮さもあるようである。