ジープ・チェロキー2.0マルチジェットII リミテッド
公開 : 2014.04.11 22:40 更新 : 2017.05.29 18:34
■どんなクルマ?
第5世代のジープ・チェロキーは、それまでのスクウェアなスタイルから決別した。スタイリッシュな7本の垂直なスロットを持つグリルや、曲面をうまく組み合わせた大径のテール・ランプなど、非常にファッショなるブルなデザインが与えられたのだ。また、その短いボンネットは、エンジンが横置きであることと、その遠いルーフがFWDのアルファ・ロメオ・ジュリエッタであることを示している。
英国には僅かに20台が輸入されるトップ・モデルのトレイルホークは、3.2リッターのV6ガソリン・エンジンを搭載するが、今回試乗したのは一般的なモデルである2.0ℓのマルチジェットIIターボ・ディーゼルを搭載したモデルだ。そのパワーは、140psバージョンと170psバージョンがあり、9速オートマティック・ギアボックスが組み合わせられる。
トリム・レベルはロンギチュードとリミテッドと2つ。共に価格は抑えられ、ライバルのアウディQ5やBMW X3よりもお買い得なモデルとなっているのも特徴だ。
■どんな感じ?
ドライバーズ・シートの居心地は快適だ。キャビンのクオリティが先代より遥かに良くなっている。パッドの付いた表面は、軋み音からは無縁で、ウインド・ノイズもほとんどない。マルチ・アジャスタブルの電動パワーシートと、チルト調整の付いたステアリングによって、堂々としたドライビング・ポジションを採ることができるが、ステアリング・ホイール自体はかなり寝ているのも特徴だろう。ドアの上に付けられたフェイク・ウッドのトリムはすこしばかり相応しくない気がし、また、グローブボックスも予想に反して小さかった。
しかし、そのドライブ・フィーリングは、まさにきちんとしたSUVといったもの。ジュリエッタから移植されたステアリングは、以前のチェロキーよりも遥かに精密だ。また、乗り心地も、若干の凹凸には反応するものの総じて良好だった。
試乗した170psモデルは、4WDで9速オートマティック・トランスミッションが組み合わせられていた。マナーも良く、追い越し加速でも充分なパフォーマンスを発揮してくれる。マニュアルのパドル・シフトは装備されていないが、その9速をマニュアルで御すことは無意味だ。もちろん、強制的にシフトダウンする必要があれば、ギアレバーを操作すればよいだけだ。
奇妙なことに、140psモデルでFWD、そしてマニュアル・ギアボックスという組み合わせのモデルのほうが騒々しかった。もちろん、マニュアル・モデルには運転する楽しさがあるのだが……。また、残念なことに、乗り心地もバウンドが激しかった。
■「買い」か?
先代のチェロキーとはイメージは大きく異なるが、新しいチェロキーは広く実用的なコンパクトSUVだ。
価格はFWDの140ps、マニュアル・ギアボックスのロンギチュードであれば£25,500(440万円)だが、4WDの170spのオートマティックのリミテッドだと£35,000(596万円)にまでなる。リミテッドだと、アウディQ3やBMW X3に近い価格になるが、チェロキーはそのクオリティよりも走破性を重視したモデルということができよう。
(ジョン・シミスター)
ジープ・チェロキー2.0マルチジェットII リミテッド
価格 | £35,000(596万円) |
最高速度 | 192km/h |
0-100km/h加速 | 10.3秒 |
燃費 | 17.2km/ℓ |
CO2排出量 | 154g/km |
乾燥重量 | 1921kg |
エンジン | 直列4気筒1956ccターボ・ディーゼル |
最高出力 | 170ps/4000rpm |
最大トルク | 35.7kg-m/1750-2750rpm |
ギアボックス | 9速オートマティック |