【1000万で選ぶなら】マクラーレン12C BMW M3 CSL 同価格帯の2台を比較 後編

公開 : 2021.09.19 09:45  更新 : 2021.10.15 13:24

コレクションするに値するBMW

M3 CSLは信頼性も高く堅牢だと、ソーンは説明する。E46型のM3では、トランクのフロアにひびが入るケースが稀にあるが、CSLは殆どないそうだ。ヴァノスと呼ばれる可変バルブタイミングも、問題は起きにくい。

SMGが不具合を起こす可能性はなくもないが、多くの場合は30ポンド(4500円)のソレノイドが原因。あるいは、フルードポンプだとのこと。

BMW M3 CSL(2003年/英国仕様)
BMW M3 CSL(2003年/英国仕様)

サーキット走行を楽しみたいなら、SMG用のラジエターを追加した方が良いと、ソーンが付け加える。ブレーキのアップグレードと一緒に。燃費が急速に悪化した場合は、バルブクリアランスの調整が必要になるとも。

BMW M3 CSLで最も手強い問題は、専用部品に関わる部分。CSLの純正ホイールは、再生産品でも見つけるのが難しいそうだ。サーキット走行で、すぐに2本を歪めてしまったという顧客もいるらしい。

CSLのステアリングラックは3400ポンド(51万円)もする。だが、ソーニー・モータースポーツ社では通常のM3用を使っているという。こちらは半額で手に入る。CSL専用のフロントバンパーは、入手困難だ。

マクラーレン12CとM3 CSLとは、直接の比較はできないかもしれません。でも、CLSはコレクションするに値するBMWです。12Cは少しクラシックな見た目で、価値も保たれています。現実的に買えて、運転を楽しめるマクラーレンだと思います」

では、われわれのような庶民が7万ポンド(1050万円)を費やして1台を選ぶとしたら、どちらが良いのだろう。「どう考えても、マクラーレンでしょう」。ソーンは即座に答えてくれた。

マクラーレン12CとBMW M3 CSL 2台のスペック

マクラーレン12C(MP4-12C/2011〜2014年/英国仕様)のスペック

10年前のAUTOCARのテストでは、フェラーリ458に負けている。だが軽量なカーボン・タブとツインターボV8エンジンで、419ps/tのパワーウエイトレシオを誇る。

英国価格:16万8500ポンド(2011年時)
全長:4509mm
全幅:1908mm
全高:1199mm
最高速度:333km/h
0-100km/h加速:3.1秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:279g/km
車両重量:1434kg
パワートレイン:V型8気筒3799ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:625ps/7500rpm
最大トルク:61.1kg-m/3000-7000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

BMW M3 CSL(2003年/英国仕様)のスペック

シルバーのBMW M3 CSLとオレンジのマクラーレン12C(MP4-12C)
シルバーのBMW M3 CSLとオレンジのマクラーレン12C(MP4-12C)

E46型M3の限定モデル。1383台しかCSLは製造されていない。CSLの名の通り、鍵は110kgの軽量化。エアコンとステレオは無償オプションだったが、85%のオーナーが選んだという。

英国価格:5万8455ポンド(2003年時)
全長:4492mm
全幅:1780mm
全高:1365mm
最高速度:259km/h
0-97km/h加速:4.9秒
燃費:8.4km/L
CO2排出量:287g/km
車両重量:1385kg
パワートレイン:直列6気筒3246cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:360ps/7900rpm
最大トルク:37.6kg-m/4900rpm
ギアボックス:6速オートメーテッド・マニュアル(SMG)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ベン・バリー

    Ben Barry

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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