【危険?】トヨタ・カローラ・クロス登場へ 怯えるC-HR/ヤリス・クロス

公開 : 2021.09.03 05:45  更新 : 2021.10.13 12:01

カローラ・クロス登場で共食い?

では、そんなトヨタのSUVラインナップを車体サイズごとに並べて整理してみよう。

ライズ:全長3995mm×全幅1695mm
ヤリスクロス:全長4180mm×全幅1765mm
C-HR:全長4385mm×全幅1795mm
カローラ・クロス:全長4460mm×全幅1825mm(タイ仕様)
RAV4:全長4600mm×全幅1855mm
ハリアー:全長4740mm×全幅1855mm
ランドクルーザー・プラド:全長4825mm×全幅1885mm
ランドクルーザー:全長4950mm×全幅1980mm

トヨタC-HR
トヨタC-HR    トヨタ

こうして各車のサイズを比べてみてわかるのは、サイズが綿密に刻まれていること。

「ライズが小さければヤリス・クロスがある」し、「RAV4が大きすぎるならカローラ・クロスがある」といった具合だ。

徹底した戦略のうえに、各車のサイズが決められている万全の布陣だということが読み取れる。

ただ、カローラ・クロスの登場がカニバリゼーションを誘発しないかといえば、必ずしもそうとはいえない。

上をみるとRAV4のサイズが大きめなので「RAV4だと大きすぎるからカローラ・クロスにしよう」という人は発生するだろうし、下をみると「C-HRだと荷室や後席が狭いのでひとまわり大きなカローラ・クロスを選ぼう」という人が多くなることは容易に予想できる。

とくに深刻となりそうなのは、後者だ。

C-HR/ヤリス・クロスが餌食に?

C-HRの全長や全幅はカローラ・クロスに対してわずかに小さいだけだが、実用性は大きく異なる。

クーペライクなスタイルを重視した個性派クロスオーバーSUVで室内を広くしようというパッケージングではないので、実用性重視のカローラ・クロスに比べると使い勝手が大きく劣る。

トヨタ・ヤリス・クロス
トヨタ・ヤリス・クロス

カローラ・クロスは、後席は足元こそ同様だが頭上のゆとりや開放感はC-HRの比ではない。

さらに荷室容量も487LとC-HRの318Lに対して大幅に広いのだ。

実用性を求めるユーザーの多くは、カローラ・クロスに流れるだろう。

そのうえ、価格も悩ましい。

C-HRの価格は238万2000円からだが、カローラ・クロスのボトムグレードは200万円を切るとうわさされている。

パッケージングと価格の関係から、この先、カローラ・クロスではなくC-HRを選ぶのは「好事家」を中心とした少数派となりそうだ。

ただ、約5年前にデビューしたC-HRは、そろそろ後方支援にまわる時期に差し掛かったともいえる。

SUVの販売ナンバー1に輝くなどすでに多大な実績を残したので、今後はカローラ・クロスのサポート役にまわるタイミングなのかもしれない。

価格での「被り」を考えると、実はヤリス・クロスにとってもカローラ・クロスはライバルとなる可能性がある。

カローラ・クロスのベーシックグレードの価格は200万円を切るようだが、ヤリスのベーシックグレード「X Bパッケージ」の価格は179万8000円と約20万円しか変わらない。

しかも、同グレードはカローラ・クロスのボトムグレードには標準搭載される衝突被害軽減ブレーキなど先進安全機能が備わらないので、実質的な価格差は10万円程度となる。

ヤリス・クロスは車体の小ささが魅力なので、実用面を理由にカローラ・クロスへ購入対象を変更する人は少ないかもしれない。

しかし、「10万円差」といわれたら、悩む人も少なくないだろう。

ただし考え方としては、必ずしもカニバリゼーションは避けなくてはいけないわけではなく、「1+1=2」とはならなくても、「1+1=1.5」となりトヨタ全体のシェアを拡大できれば成功ともいえる。

だから「トヨタ全体」という広い視点から見れば、カローラ・クロスの人気はトヨタのSUVラインナップを盛り上げるありがたい存在となるに違いない。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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