【EV(電気自動車)】じつは100年前からありました
公開 : 2021.09.08 05:45
日の目を見ずに塩漬けに……
1900年代初頭のEVタクシーは徐々に姿を消していく。
最大の理由は、フォードT型の登場だ。
クルマが、富裕層向けから大衆向けに大きくシフトしたのだ。
フォードT型の影響を受けて、ガソリンエンジンとガソリン燃料の研究開発が一気に進み、量産効果によって関連部品のコストが一気に下がった。
一方、EVはガソリンエンジン車の普及の中で、取り残されていってしまう。
時代は進み、第二次世界大戦が終わって1950年代入ると、アメ車のトレンドは、より大きく、より速く、よりゴージャスにという路線が強調されていく。
こうしたトレンドに、EVは、ハマらなかった。
アメリカのイケイケ路線は、60年のマッスルカーに代表されるような大排気量化の道を進む。
また、欧州でもアメリカほどではないが、大衆車の大型化が進み、EVが登場する余地はなかった。
こうした状況が70年代に入ると大きく変わる。
世界的に排気ガスによる公害が社会問題となり、アメリカのマスキー法に代表される厳しい排気ガス規制が始まる。さらに、オイルショックによってガソリン価格が上昇したり、ガソリンの供給不足に陥った。
こうした状況を打破しようと、1900年初頭から約70年ぶりに、EVの研究開発が欧米や日本で表舞台に出てきた。
ところが……。
歴史はあるが歩みは遅かった?
70年代に、未来のクルマとして自動車メーカーが大学などでEVコンセプトモデルが次々と登場し、またEVバスの実証試験などもおこなわれた。
しかし、当時のバッテリーは鉛バッテリーで、充電効率が悪く、重量が重く、さらにバッテリー内部の液体の臭いも影響して、本格的な量産には至らなかった。
さらにそれから20年近く経った、1990年に米カリフォルニア州がゼロエミッションビークル規制法(ZEV法)を施行し、トヨタ、ホンダ、日産などもEVを限定的に量産した。
だが、ZEV法の規定が燃費効率の良いガソリン車も対象とする方向に転じたこともあり、メーカー各社のEV開発がストップしてしまう。
それからさらに20年近くが経った2009年、日産「リーフ」と三菱「アイミーブ」が登場する。
実は、この2モデルが大手自動車メーカーが本格的に大量生産した初めてのEVだったのだ。
つまり、1900年代初頭のマンハッタンEVタクシー時代から数えて、100年以上経って、やっとEVは日の目を見たことになる。
EVの歴史は100年間あっても、その実態は1970年、1990年という節目での小さなブームがあったに過ぎない。
本格的なEVのスタートポイントは2010年代に入ってからであり、まだまだ日が浅いのが現実だ。