【詳細データテスト】アストン マーティン・ヴァンテージ 磨かれたシャシー 加速も向上 室内は要改良
公開 : 2021.09.11 20:25 更新 : 2021.09.14 05:54
結論 ★★★★★★★★☆☆
3年前、われわれは強力なV8のパフォーマンスとドラマティックさを誉めたたえた。カリスマ的なFRならではのハンドリングもだ。そうして、ヴァンテージの標準モデルに、われわれは9点を与えた。
そして今、マーケットには992世代のポルシェ911にはGT3とターボSが存在し、マクラーレン600LTは優秀の美を飾ろうとしている。その中にあっては、ヴァンテージF1エディションがかなり強化されているとはいっても、少々影が薄い。
その比較はフェアではない、という意見もあるだろう。しかし、この手のクルマのパフォーマンスやサーキットでの走行性能、そしてドライバーの走らせ甲斐に求められる水準は、この36ヶ月で引き上げられた。それに対して、このヴァンテージの進歩は完全に追い付いてはいない。
わかりやすいのは、このクルマのインテリアが可及的速やかなアップデートを必要としていることだ。F1エディション投入と合わせて、大幅なマイナーチェンジを図るべきだった。
そうはいっても、F1エディションで行われたバージョンアップは、公道でもサーキットでもよりシャープなハンドリングをもたらした。それはヴァイザッハやウォーキング、エミリア・ロマーニャで生まれるサーキット重視のスペシャリストと同じ土俵に上がるものではなく、やんちゃなやりかたでアジャストできるハンドリングはそのまま残されている。
アストンのスーパーカーイーターは、もう少し後に出てくるだろう。今回は、走りの魅力を一層高めた、きわめて好ましいスポーツカーをわれわれに託してくれた。最新のハードコアなライバルたちと比べるのも、十分にフェアな勝負だと思う。
担当テスターのアドバイス
リチャード・レーン
ステアリングホイールに加えられたアルカンターラのグリップは、このクルマでは非常に役立つ変更点だ。ただ、リムはやっぱり丸いほうがいい。
マット・ソーンダース
ドライバーの左膝を支えるパッドをトランスミッショントンネルにどうにか取り付けたのに、どうして右側にはなんの処置もしなかったのだろう。ドアパネルは薄くて脚が届かないので、ハードなコーナリングをすると、行き場がなくフラフラしてしまうのだ。座面のサポート性を高めるか、シートとドアの距離を縮めるかしてくれれば、万事解決するはずなのだが。
オプション追加のアドバイス
標準装備の内容はかなり充実している。もしもサーキット走行を想定してオプションのカーボンセラミックブレーキを装着するなら、カップ仕様のタイヤもいっしょに選んだほうがいい。カーボンファイバー・インテリアトリムパックをつけておけば、ちょっとはリセールのプラス要素になるだろう。
改善してほしいポイント
・もっともっとインテリアに注意を払ってもらいたい。
・このクルマにはカップ仕様のタイヤを履かせてほしい。サーキットでのパフォーマンスに、多大な貢献をしてくれる。
・現状のZF製ATより、トランスアクスルに適したギアボックスがあるのではないだろうか。出来のいいDCTなら、もっと明確なシフトをしてくれるはずだ。