【詳細データテスト】アストン マーティン・ヴァンテージ 磨かれたシャシー 加速も向上 室内は要改良

公開 : 2021.09.11 20:25  更新 : 2021.09.14 05:54

内装 ★★★★★★★☆☆☆

ブラックのレザーにライムカラーのステッチとアクセントが入り、ステアリングリムやシート、ドアトリムなどにグレーのアルカンターラを用いたインテリアは新鮮で、さらなるパフォーマンスを感じさせる雰囲気がプラスされている。

ライムカラーの箇所は、レッドかブラック、もしくはグレーに変更可能で、ピアノブラックに代わるカーボンのパネルも用意される。アルカンターラのヘッドライナーも含め、それらはオプション設定だ。

円と四角を合わせたようなステアリングホイールは、レザーをベースにグリップする部分にアルカンターラを用いている。親指で操作しやすい位置に設置されたトグルボタンは走行モードのセレクトスイッチで、右がパワートレイン、左がサスペンションのそれだ。
円と四角を合わせたようなステアリングホイールは、レザーをベースにグリップする部分にアルカンターラを用いている。親指で操作しやすい位置に設置されたトグルボタンは走行モードのセレクトスイッチで、右がパワートレイン、左がサスペンションのそれだ。    MAX EDLESTON

F1のトレードマークをあしらったバッジを除けば、F1エディションと標準モデルのインテリアの違いは、カラーとトリムだけとなる。とはいえ、価格差や、内装以外に費やされた労力を考えれば、おそらくこれで十分だろう。

しかし、3年前の発売時に、メルセデスの型落ちインフォテインメントシステムを使用したのが今になって問題となっているのだから、もっと大幅なリフレッシュを図ってもいい時期だとも思える。

基礎的な部分はきわめてまっとうだ。ドライビングポジションは低く、ストレートで、サポート性も十分。操縦系の配置は適切で、手が届きやすい。前方の視認性は、上下に薄いガラスハウス越しにしては十分納得できるものだ。リアの視界はじつにプアだが、360°パーキングカメラが標準装備されているので、そこは補える。

テスター陣が揃ってダメ出ししたのは、センターコンソール前方とセンターパネル周辺の狭いエリアにスイッチ類が集中しているレイアウトの煩雑さだ。とはいえ、使いたいボタンを見つけることは確実にできる。

たとえばエンジンのスターター・ジェネレーターを停止させたいとき、スタビリティコントロールの効きを弱めたいとき、またリバースギアを選びたいときなどがそうだ。そして、低く配置したトランミッションのプッシュボタン式セレクターは、アストンのほかのモデルのそれより手が届きやすい。

しかし、インフォテインメントシステムの古さは見落としようがない。同じ価格帯のメルセデスに搭載されているものからすれば、少なくとも2世代は前のもので、スマートフォンのミラーリング機能は一切備わらない。

アストン マーティンのオーナーの大多数やその予備軍は、このクルマのほかの魅力に比べればたいした問題ではないと思うかもしれない。しかし、アストン自身が、無党派層的ユーザーにポルシェ911の上級仕様と比較検討する対象として訴求したいなら、高級スポーツカーとしての競争力を確保し続ける努力が必要だ。

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