【世界が祝福!】バック・トゥ・ザ・フューチャーのタイムマシン「デロリアン」再現 日本初、公道走行可 背景に仲間

公開 : 2021.09.10 00:06  更新 : 2022.03.25 18:49

溶接痕まで、映画に登場した本物を再現!

――こだわりのパーツもたくさんありそうですね。

「色々あるのですが、まずは排気口をご紹介しましょう」

排気口の溶接痕まで、バック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくるデロリアンを再現する。
排気口の溶接痕まで、バック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくるデロリアンを再現する。    加藤博人

「BTTFデロリアンのリアビューとしてすっかりおなじみの装置ですが、ここも超一流のプロである日本の友人が仕上げてくれたんです」

「溶接痕もすべて、映画に登場した本物のデロリアンと同じように、溶接の方法や向き、仕上がりの状態など完璧に再現してくれました」

「細かいところでは白い結束バンドも何種類も買って映画に使われたデロリアンの写真とサイズを比較して選定しました」

「たった1本の結束バンド1つとってもこだわっています」

――車内にある金の箱にメッセージが入っていますが……それはどなたからですか?

「わたしのデロリアンの半分を手伝ってくれたニュージーランド人の友人マットのメッセージです」

「金の箱の中のパーツはマットのロサンゼルスの友人が、アメリカで探してそれをニュージーランドのマットの家に送って9か月かけて作ってくれました」

「彼にはたくさんのパーツで協力をしてもらっていますが、これまでパーツにメッセージなんて書いたことないのに、何を思ったかわたしへのメッセージとサインが入っていました」

「その金の箱をわたしに届けて1か月後に彼は亡くなりました。わたしのデロリアンの中心には彼が亡くなる前に作った最高傑作の金の箱が乗っています。わたしのタイムマシンの中心で彼は今も生きています。」

「さらに、彼が亡くなった後に引き継いでくれた別の友人がパーツの正確さよりも彼を忘れないためにメッセージと彼の使っていたロゴを掘り込んでくれました。
『Your Friend in Time Mat』と書かれています」

――完成までにどれくらいの費用が掛かっていますか?

運輸支局ではすっかり有名人に?

――完成までにどれくらいの費用が掛かっていますか?

「内装のパーツはどんぶり勘定で送料などを含めて100万円ちょっとですね。業者の手は一切かかっていません」

DOC(デロリアン・オーナーズ・クラブ)副会長でもある橋本さんは、オーナーの駆け込み寺的存在。「日本のデロリアンが関西に集中しているのは橋本さんが兵庫県在住だから」との話も。
DOC(デロリアン・オーナーズ・クラブ)副会長でもある橋本さんは、オーナーの駆け込み寺的存在。「日本のデロリアンが関西に集中しているのは橋本さんが兵庫県在住だから」との話も。    加藤博人

「外装は仲間たちにも手伝ってもらって仕上げましたが、パーツ代としては内装が100万円、外装が180万円のトータル280万円位です」

「ベースとなるデロリアンは590万円で購入しました」

――外装でとくに大変だった改造はどちらでしょうか?

「フラックスバンドですね。ボディの周りについているバンドです」

「これはボディに穴を開ける必要がありましたので、もう2度と入手できないかもしれないステンレスのボディに穴を開けるのは勇気がいりました」

「加工に関しては、デロリアンオーナーズクラブの副会長橋本さんをはじめ仲間が自宅に来て手伝ってくれました」

「橋本さんはいろんな相談に乗ってくれて、うちに通ってくれて本当にありがたい存在です」

――車検適合までにも相当なご苦労があったでしょうね

「運輸支局に通い始めてから2年で、すべての作業が車検適合となりました。最初は、『こいつ何やねん?』という感じでした何度か通ううちに『また君か』となり……。通常の作業を邪魔しないようなるべく休憩時間などに行って相談に乗ってもらいました」

「最初は、ミニカーを持ってデロリアンに乗って行き、ミニカーを見せながら『こんなパーツをここにつけたいんです』と、パーツに関する膨大で詳細な資料や写真を見せて相談しました」

「ずっと担当してくれる検査員の方からは『目立つ車だからきっちりやっておかないとね。色々文句言われないように頑張ってやっていきましょう』と励ましてくださいました」

日本の公道を走れる仕様となったことを津和敏夫さんはすぐに世界の仲間たちに報告した。

津和さんのもとにはたくさんの祝福メッセージが届いたという。なんと、当時の映画関係者からも祝辞が来たそう。

「パーツの数だけ協力者がいる、という位に多くの仲間が協力してくれました。ナンバーを付けて公道を走る姿はホント、自分でも感動します」

取材の際、筆者とカメラマンはデロリアンの後ろをついて行ったが、とにかく注目度がすさまじい。

多くの人が驚いて振り返り、そしてみんなが笑顔になっていたのが印象的だった。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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