【ワゴンにサヨナラ?】メルセデス、ステーションワゴンの将来性を危惧 SUVにファン流出
公開 : 2021.09.10 07:05
世界的にステーションワゴンの販売が減少する中で、メルセデス・ベンツもワゴンの存続を諦めるかもしれません。
電動化に伴う市場の変化
メルセデス・ベンツのCOO(最高執行責任者)であるマーカス・シェーファーは、電動化によって従来の市場バランスが変化する中で、ステーションワゴン車やその他のニッチなモデルの将来について「検討中」だと述べた。
ミュンヘン・モーターショーでのインタビューで、シェーファーは「ワゴンについては、様子を見なければならない」と認めた。
「多くのユーザーがSUVに移行しているため、ワゴンの市場はわずかしか残されていません。そのため、販売台数がどのように推移するかを注視しなければなりません。技術的には問題はありませんが、それよりもこのニッチ市場がどのように発展していくかが問題なのです」
以前、メルセデス・ベンツの他の関係者はAUTOCARに対し、燃費の良いSUV、特に従来のICE車よりも車高が低く空力特性に優れたEVの台頭により、ワゴンの市場が圧迫されていると指摘していた。
中国や米国では車高の高いモデルが好まれており、欧州は今やステーションワゴンが多く販売されている数少ない市場の1つとなっている。
スポーツタイプは「魅力的な商品」
また、シェーファーによると、メルセデスはクーペとカブリオレの販売は今後も継続する意向だという。
「中国はロードスターが売れる市場ではありませんし、欧州では数年前に比べてカブリオレを購入する人が減っています。しかし、非常に魅力的でエモーショナルな商品だと思います。クーペについても考えなければならないでしょう」
だが、電動化の波が押し寄せる中で、長く存続させることは簡単ではないようだ。
「(EVとして)格好いいカブリオレを作るのは、そんなに簡単なことではありません。美しいプロポーションを保ち、大きなバッテリーを搭載しても車高を上げすぎないようにするのは、かなりの負担であり、努力が必要です」
「市場には、わたし達の好みに合わないクルマも出ています。そのため、もっと良いものを出していくでしょう」
内装材にも「悩み」
メルセデスがすぐにやめるとは思えないのが、レザー(革)の使用だ。一部の市場では2030年までに電動化を実現し、構造には低炭素鋼を使用するなど、メルセデスは持続可能性を追求しているが、レザーは今後も残るだろう。シェーファーは、それが特徴の1つであると感じている。
「ARTICOのように、今はヴィーガンのインテリアが用意されています。しかし、レザーを諦めたくはありません。レザーの扱い方を調べ、深く掘り下げていくことで、レザーがどこから来ているのかを知ることができます」
特にシェーファーが残したいと考えているのは、ステアリングホイールの素材だ。「ステアリングで悩んでいる」と彼は言う。
「正直に言うと、プラスチックや人工皮革のステアリングホイールはいりません。レザーやウッドの方がはるかに気持ちいいので、それだけは妥協したくないのです」