【古き良き英国の伝統】デイムラー・マジェスティック 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2021.10.02 17:05  更新 : 2021.10.12 16:22

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エンジニアとして活躍したピーター・ブリストウは、1967年に1961年式マジェスティック・メジャーを手に入れた。「その時すでに、完全に錆びていました」。と購入時を振り返る。

「その頃は溶接工として働き始めたばかりで、新しいボディパネルを購入する余裕はありませんでした。仕方なく、リベットでアルミ板を貼って凌ぐ状態。10年くらい前まで、そんな修理を一部では続けていましたね」

デイムラー・マジェスティック/マジェスティック・メジャー(1958〜1968年/英国仕様)
デイムラー・マジェスティック/マジェスティック・メジャー(1958〜1968年/英国仕様)

「このクルマは普段の足。トルクコンバーターが故障し、8年間ほどガレージに眠っていた期間がありましたが、それ以外は常に外出では一緒です。トランスミッションが弱点で、フルードクーラーを追加しています」

「ステンレス製のエグゾーストへ交換してあり、45年前からブレーキにはシリコンフルードを用いています。10年前、走行距離が24万kmを過ぎた頃にエンジンをリビルド。ピストンは、オーストラリアから取り寄せました」

「サイドシルとボディの修復のため、専門ガレージに持ち込んでいますが、ほかの部分は自分で溶接しています。塗装も、ジャガーの塗料を用いて自分で。常にワックスでピカピカです」

英国で掘り出し物を発見

デイムラー・マジェスティック・メジャー

登録:1961年 走行:22万400km 価格:4万5000ユーロ(585万円)

スイスへ輸出されたマジェスティック・メジャー。売り手にとっては夢のクルマだといい、V8-250にダウンサイジングして販売している。記録では、1961年5月の製造と記されている。15年前に現オーナーとともにイタリアへ引っ越した。

デイムラー・マジェスティック・メジャー(1961年/欧州仕様)
デイムラー・マジェスティック・メジャー(1961年/欧州仕様)

右ハンドル車だが、スミス社製のスピードメーターはkm/h表示。オリジナルのサンルーフも自慢。最近にも、ステアリングとブレーキ、トランスミッション、キャブレターの整備を受けている。

フロントのレザーシートはヒビ割れしているという。ボディーにも少々のお手入れが必要なようだ。

デイムラーDR450 リムジン

登録:1961年 走行:10万200km 価格:2700ドル(29万円)

走行距離が短めのデイムラーは、アイルランドと日本を経由し、現在はアメリカにある。大きいボディがゆえに、往年の状態を取り戻すには壮大なプロジェクトになるだろう。

友人はレストアすることもなく、野良猫のように乗っていたらしい。オリジナルのヘミエンジンは、オールズモビルのV8エンジンに載せ替えてある。

だがリムジンは非常に珍しく、まだ走行可能な状態で、ボディやトリムの状態も予想よりは良いようだ。一部の部品はクロームメッキ加工し直してある。もし挑戦する気があるのなら、破格の値段でベース車両が手に入る。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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