【新車か中古車か】トヨタGRヤリスvsアウディR8 価格は同等 万能なGRヤリス 特別感あるR8
公開 : 2021.09.18 11:05
14年経ってもR8はクール
この3万ポンド台半ばで、今ではR8の初期モデルが狙えるのだ。2007年当時、われわれがベストドライバーズカーに選んだスーパーカーが、である。
中古車広告を見れば、そう多くはないが、4.2LのV8を積むマニュアル車が、3万3000ポンド(約462万円)程度で見つけられる。走行距離は10万km前後といったところだ。
新車価格は7万6000ポンド(約1064万円)はした。420psの70%を後輪に伝達し、ウェイトは1565kg。標準装備にはレザーシートやキセノンヘッドライト、19インチホイールが含まれる。今回の試乗車は、オプションのマグネティックライドこと磁性流体アダプティブダンパーが装備されていた。
一般的に、R8の信頼性は高い。インテリアはところどころテカり、インフォテインメントシステムは古さを感じさせ、時の流れを隠しきれていないが、機械面は強力だ。
購入前に試乗できるなら、エンジンの底面あたりからおかしなノイズが出ていないか耳をすまそう。また、オイルホースの劣化や、ラジエーターの繋ぎ目からのリークも要チェックだ。
さらにいえば、大部分がアルミ素材なので、スティール部材との接合面は腐食しやすい。サスペンションの取り付け部は、サビや焼きつきが出ることがある。マグネティックライドが故障しているなら、適切なパッシブダンパーのコイルオーバーに交換したほうがいい。
タイヤとブッシュの摩耗や、アライメントの狂いにも、R8は敏感に反応するクルマだ。とはいえスーパーカーのスタンダードからすれば、信頼性は高く走らせやすい。専門店の整備や補償を加えておけば、さらに安心だ。
今回の試乗車に乗る限り、今でもR8の走りにはすばらしいものがあるといっていい。キーを捻ってエンジンをかけると、最近のクルマで聞き慣れているような芝居がかった爆音を発するのではなく、マクラーレンF1的なソフトな始動音から繊細なアイドリングへ移行する。それだけでなく、正確なギアシフトもF1的。さらに、オープンゲートのカチッと鳴る音が気分を盛り上げる。
乗り味はしなやかで、視認性がよく、クイックなステアリングの手応えはやや軽めで、セルフセンタリングは積極的だ。全幅は1900mm強あるが、見切りがいいからだろう、狭い道でもそれほど大きく感じない。
V8エンジンはみごとだ。サウンドが大きすぎることは決してなく、パワーは8000rpmに届くまでリニアでスムースに出る。2速でそこまで回すと100km/hを超えるくらいだが、そこではすばらしい音を聞かせてくれる。
トルクは43.8kg-mに過ぎず、4500rpm回さないとピークに達しないが、スムースでやかましくないので、コーナリング中や追い越し加速時に低いギアへ入れっぱなしにしておくことも楽にできる。各ギアでカバーできる速度域も十分高く、R8のようなクルマにもふさわしいものになっている。
エキゾティックなスーパーカーブランドの商品ではないが、かなりクールなクルマだ。エンジニアリング的にみても、完成度の高さが感じられる。