【新車か中古車か】トヨタGRヤリスvsアウディR8 価格は同等 万能なGRヤリス 特別感あるR8
公開 : 2021.09.18 11:05
ホットハッチは賢明な選択だが
GRヤリスには、維持する上で決定的な問題がある。整備は1万kmごと、フルードとブレーキのチェックはその半分が推奨で、普通の乗り方をしていれば年に2回のチェックと毎年の整備が必要ということになる。
それでもこのクルマは、この15年ほどで自動車業界がどれほど変化したかを示す好例だ。これがただのホットハッチとは言いがたいスペシャルなモデルであるとはいえ、それでも新車価格が倍以上もするスーパーカーと同じくらい速く、有能に感じられるのだから。じつのところ、おそらくこちらのほうができることは多いはずだ。
GRヤリスの乗り心地は十分にいい。サーキットパック仕様は、ダンパーを硬めのセッティングにしたR8とそう遠くないし、標準仕様であればR8のスタンダードなモードに近い。シフトの満足度ではアウディに譲るが、正確さでは負けていない。ステアリングもまた然りだ。
1.6L直3ユニットは、V8の特別感に及ぶべくもないが、実力は十分。アウディは回転を上げるにつれてエキサイティングさも増し、スペック表にはより大きなピーク値が記載されている。とはいえ、GRヤリスは車重が1280kgしかないうえにターボユニットなので、より早くピークに達し、果敢に回り続ける。
本気で走らせたら、凄まじいものがある。アウディのほうがスペシャルさを感じさせることは多いし、低い速度域ではたしかにそう思える。だが、それでもGRヤリスを走らせるのは常に楽しく、とりわけ満足感が高いクルマのひとつに数えられる。
おまけに、実用性で大きく上回るというのは否定できない事実だ。運転席の背後に座るとレッグスペースはかなり狭いが、それでも3人+荷物は余裕でキャビンに収まり、さらに後席を倒して拡大できるラゲッジスペースが備わるのだから。
R8のルックスはグラマラスだが、その代償として積載スペースはフロントの大きくない空間に限定される。おそらく、取引先とのミーティングに自家用車で向かう機会があったら、スーパーカーでは躊躇しても、それより目立たず実用的なGRヤリスなら迷うことはないだろう。実際にはそのスーパーカーが実用的だったり、安く手に入れたりしたものであってもだ。
さて、そろそろどちらかを選ぶとしよう。もちろんその選択は、購入者がそのクルマをどう使いたいかによる。使用頻度が高いなら、GRヤリスを選ぶといい。きっと、それまで乗っていたステーションワゴンの出番を奪う機会が増えるはずだ。
対するR8は、日常使いしやすく、しかも安価で手に入るスーパーカーだとしても、それでもやはりスペシャルだと思えるクルマだ。一台でいろいろこなせて、走りも楽しいクルマがほしいならGRヤリスで決まり。しかし、豊かなカーライフを楽しめるセカンドカー選びという観点でいえば、われわれはR8により強く魅かれる。