【ワンオフも制作可能】アストン マーティンの「Q」 コンコルド・エディション ゴールドフィンガー ほか 後編
公開 : 2021.10.03 13:45 更新 : 2021.10.12 16:20
DB5 ゴールドフィンガー
DB5 ゴールドフィンガーは、Q部門が英国の秘密情報部、通称MI6の生み出したマシンと一致するように全力を尽くしたクルマ。ゴールドフィンガー仕様のDB5が、合計25台作られた。
ボンドカーとして最も有名なクルマの、完璧なレプリカといって良いだろう。映画で用いられているガジェット類の多くが、稼働状態で搭載されている。330万ポンド(5億160万円)というお値段が付いているが、公道は走れない。
「ワークス・テーラード部門からいるスタッフは、DB5のレプリカには慣れています」。とサイモン氏が振り返る。007シリーズで特殊効果のスーパーバイザーを務める、クリス・コーボールド氏の協力を得て完成したものだという。
「課題だったのは、当時のDB5は2台としてまったく同じには作られていないことでした。多くのクルマを調達し、現代基準に照らし合わせ、標準とする技術的な標準を設定しています。チャレンジングな仕事でした」
ガジェット類の再現も簡単な内容ではなかったが、サイモン氏は楽しかったとも話す。「技術的に動きを再現するだけでも、チームにとっては素晴らしい冒険になりました」
「当時のボンドカーより安全で信頼性を持たせ、何度もオーナーが楽しめる必要がありました」。回転するナンバープレートや機関銃(弾は出ない)、防弾リフレクター、オイルスプレー、スモークスクリーンなどの機能が搭載されている。
防弾ディフレクターは実際に防弾
「例えば機関銃は、発射時の閃光を再現するため、スパークプラグを内蔵したアセチレン・ボトルを利用。発射した時の反動も再現しつつ、堅牢なシステムを作る必要がありました。弾の発射音は、MP3プレイヤーで再現しています」
「制作チームは、ガジェット類の再現に相当な力を注ぎました。防弾ディフレクターは、実際に防弾です。本当に防げるか、銃弾を打ち込んで確かめています」。しかも、DB5の見た目は損なわれていない。
すべてのガジェットを再現できたわけではない。タイヤのハブから飛び出るシュレッダーは、荷室にしまってある。必要になれば、オーナーが手で取り付けることは可能だ。
助手席の邪魔な人物を、空中に打ち出すこともできない。だが、助手席側のルーフパネルは取り外せる。
サイモン氏がお気に入りのガジェットだと話すのが、ナビゲーション。「スライドカバーを再現できました。画面の表示は、レーダーノイズが出るゴールドフィンガーとほぼ同じ。衛生ナビとしても利用できます」
「1番クールなのは、ガジェット類を車外からでも操作できるリモコンでしょうね。お客様へ喜んでもらえるように準備しました。車内のコントロールパネルに似せてあります」
「当時風のスイッチが並び、大きな赤い発射ボタンも付いています。ちょっとした話題のタネ。コレクターの方にも、納得していただけるはずです」