【ホンダ・シビックは高い?】300万円台でも「ターゲットは若者」を貫くワケ

公開 : 2021.09.19 05:45  更新 : 2021.10.09 23:38

300万円台のプライスを掲げる新世代ホンダ・シビックは若者との「価値観の合致」を目指して送り出されたクルマです。

300万円台 新型シビックは高い?

執筆:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
編集:Taro Ueno(上野太朗)

ホンダの新型「シビック」が、2021年9月3日より発売されている。

英語で「CIVIC(シビック)」を「市民の」というように、シビックは世界市民のベーシックカーとして、1972年の初代から累計約2700万台が販売された。今も年間68万台が売れる大人気車種だ。

ホンダ・シビック
ホンダ・シビック

今回のモデルは、1972年登場の初代から49年目となる11世代モデルだ。

しかし、新型の11代目シビックで気になるのが価格だ。

今回、日本で発売されるのは、エントリーグレード「LX」で319万円、上位グレード「EX」では353万9800円にもなる。

実際に試乗してみれば、ハンドリングは軽快、1.5Lターボのフィーリングも申し分ない。インテリアデザインはシンプルでセンス良く、質感もなかなか。

ベーシックカーではなく、もっと上の格を感じさせるものであった。

クルマ好きであれば、誰もが好印象を抱くはずという出来の良い1台であったのだ。

しかし、冷静になって考えれば300万円台は安くない。

しかも、ターゲットは20代前半のジェネレーションZだという。若者向けには高すぎるのではないだろうか。

さらにアメリカでは、シビックは2万3000ドル程度から発売されている。1ドル=120円で計算すれば276万円だ。

一方、日本のシビックは300万円以上。なぜ、そんな価格差があるのだろうか。

アメリカ廉価版シビックが安いワケ

日本向けの新型シビックが、なぜ319万円からという高値になったのか。

そんな疑問を、新型シビックの開発責任者であるホンダの佐藤洋介氏にぶつけてみた。

新型シビックの開発責任者であるホンダの佐藤洋介氏
新型シビックの開発責任者であるホンダの佐藤洋介氏    鈴木ケンイチ

すると、まず「アメリカには2.0LのNAエンジンを搭載するエントリーグレードがあります」という。

2万ドル前半の手ごろ価格は廉価版であり、日本に導入された1.5Lターボは上位グレードで、アメリカでも2万8300ドル(日本円換算で約340万円)だという。

多少の価格差は「数多く販売されるアメリカと、売れる数の少ない日本」という前提条件を考えれば、仕方ないかなと思えるほど。

しかし、それならば、廉価版を日本に導入すればよいのでは? との疑問も浮かぶ。

「でも、日本で2.0Lエンジンを作っていないため、新たに導入するには別途費用がかかります」と佐藤氏。

今回のシビックは、日本向けは埼玉の寄居工場で、アメリカ市場向けはアメリカで生産される。

そして、日本では、これまでシビック用の2.0L NAエンジンを生産していない。

そのため、11代目用に2.0L NAエンジンを搭載しようとすると、そのための生産設備を用意する必要がある。

つまり、市場規模の小さい日本向けと考えると、新規導入はコスト高すぎるというのだ。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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