【忘れられた名車】日産プリメーラ 欧州の強敵に挑んだ3代目 広い意味でターニングポイントに

公開 : 2021.09.20 18:45

斬新かつハイテク満載の最新モデル

デザインを主導したのはステファン・シュワルツで、彼は同車のテレビ広告にも出演している。

彼が目指したのは、広さや柔軟性を損なうことなく、クーペのようなシルエットをファミリーカーに落とし込むことだった。英国ではそれまでセダン、ハッチバック、ワゴンの3種類が用意されていたのに対し、3代目はハッチバックとワゴンの2種類のみとなった。

日産プリメーラ(3代目、欧州仕様)
日産プリメーラ(3代目、欧州仕様)

大きなテールゲートを開けると、フラットパック(焚火台)が入るほどの広いトランクがあり、キャビンは、宇宙船のようなダッシュボードを見ながら後席の乗員がくつろぐのに十分なスペースを有していた。

ドライバーの目の前にあるのは特徴のないプラスチック成形品であり、優雅な弧を描くダッシュボードの中央に計器類が配列されている。その下にはディスプレイがあり、ノブやボタンが半円を描くように並んでいる。2001年当時としては斬新なデザインであった。

また、見た目だけでなくハイテク装備も充実させることで、高級車ブランドのように憧れを抱かせようとした。プリメーラは、欧州Dセグメント車の中でもいち早くバックカメラを(ほぼすべてのモデルに)搭載。さらに、オートワイパー、クルーズコントロール、ハンズフリー電話、サブウーファーなども、ベースモデルを除いて装備されていた。

クロスオーバー人気に呑まれたセダン

日産の使命は、電子機器の豊富さで人々を魅了することであり、それは今でも続いている。しかし、プリメーラにはそれだけでは足りず、斬新なスタイリングが求められていた。ダイナミックにチューニングされた先代モデルのようなシャープなハンドリングではなく、「プレミアムへの逃避行」が必要だったのだ。

同時期、日産は新しい分野に挑戦する必要性に迫られた。小型で思慮深いアルメーラの販売不振が痛々しく浮き彫りになっていたからだ。売上を支えるCセグメントへテコ入れすべく、模索した結果たどり着いたのが新しいコンパクト・クロスオーバーだった。

日産プリメーラ(3代目、欧州仕様)
日産プリメーラ(3代目、欧州仕様)

膨大な量の市場調査を基に、日産は新型キャシュカイ(デュアリス)のコンセプトをまとめ、そのデザインを再びシュワルツへ任せたのだ。周知のように、この先駆的なクロスオーバーは大成功を収めた。しかし、最後のハイテク・プリメーラは、ほとんど忘れ去られてしまった。

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