ポルシェ911 50thアニバーサリー・エディション
公開 : 2014.04.18 22:50 更新 : 2017.05.29 19:05
■どんなクルマ?
ポルシェ911の生誕50周年を記念して1963台が限定生産されるモデルが、この911 50thアニバーサリー・エディションだ。
このモデルが登場した理由のひとつは、ビジネス的に見て成功が約束されているということ。純粋な911マニアにとっては、是非とも手に入れたいモデルになるだろうという目論見があるからだ。そして、もう一つの理由は、特別な装備とシャシーを持ったスペシャルなカレラSであるということだ。この2つが50thアニバーサリー・エディションが存在する理由だ。そして、その2つの理由を考えると、その価格は決して高いものではない。
■どんな感じ?
50thアニバーサリー・エディションは、3.8ℓのカレラSをベースにしながらも、通常カレラ4Sやターボに用意されるワイド・ボディが装備される。組み合わせられるホイールはクラシックなフックス・スタイルの20インチ。そしたより広くなったトレッドに対応するようにPASMもプログラミングも見直されている。
インテリアは、2色のスペシャル・ペイント・カラーで彩られ、クロームを始めとする専用のトリムが装備される。そして、その機材のレベルはノーマルのカレラSよりも豪華だ。
メタリック・ペイント、ダイナミック・ヘッドランプ、そしてスポーツ・デザインのドア・ミラーは、ノーコスト・オプションとなっている。
同じ装備をスタンダードな911に施そうとすると、それだけで£88,000(1,512万円)という価格になる。つまり、ワイド・ボディは、その差額である£4,257(74万円)で装備されるという計算だ。これは明らかにお買い得以外の何者でもない。
そのエンジン・アウトプットに関しては、ノーマルのカレラSと変りないが、それは充分なもの。4500rpmを超えると一段と鋭くなる加速は実に魅力的だ。7000rpmのレブ・リミットまで一気に吹け上がる。
50thアニバーサリー・エディションとスタンダードなカレラSとの違いは、PASMをスポーツ、またはスポーツ+にした時に感じる、重いステアリングと硬くなった乗り心地だ。しかし、フロント・エンドからのフィードバックは適切で、より大きの情報をドライバーに伝えてくれるので、むしろその重いステアリングは望ましい。
また、固められたサスペンションは、サーキットでの走行も考慮に入れられているようで、ダンパーの限界付近での安定性を考慮したものとなっている。しかし、PASMのセッティングによっては、街中でソフトな乗り心地を味わうことも可能ではあった。
■「買い」か?
もちろん “買い” だ。マニュアルにするかPDKにするかは個人の好みだ。しかし、PDCCアクティブ・アンチロール・バーとPASMスポーツ・サスペンションは必ず装着すべきだ。また、スポーツ・クロノ・プラスと、アクティブ・エンジン・マウント、そしてスポーツ・エグゾーストもオプションとして選択するべき装備だ。
もちろん、£92,257(1,586万円)の価格を出せば、もっとパーフェクトなハンドリングを持つスポーツカーを手に入れることができるかもしれない。しかし、それはごく少数だ。50thアニバーサリー・エディションは画期的な1台ではないかもしれないが、間違いなくファン・トゥ・ドライブなポルシェである。
(マット・ソーンダース)
ポルシェ911 50thアニバーサリー・エディション
価格 | £92,257(1,586万円) |
最高速度 | 300km/h |
0-100km/h加速 | 4.5秒 |
燃費 | 40.5km/ℓ |
CO2排出量 | 224g/km |
乾燥重量 | 1410kg |
エンジン | 水平対向6気筒3800cc |
最高出力 | 400ps/7400rpm |
最大トルク | 44.9kg-m/5600rpm |
ギアボックス | 7速マニュアル |