【4ドアクーペGT頂上対決】メルセデスAMG GT 63 S アルピナB8 グランクーペ 前編
公開 : 2021.10.02 09:45 更新 : 2021.10.12 16:23
4.4L V8から621psと81.4kg-mを獲得
B8 グランクーペのベースは、M8 グランクーペではなく、1つ穏やかなM850i グランクーペ。M8の特長といえる、膨らんだフェンダーラインはまとわない。
立体的な専用のフロントスカートとサイドスカート、リアバンパーでボディが包まれ、紛うことなきアルピナに仕上がっている。最高速度は、許される環境なら323km/h。アウトバーンでは、ボディキットが活きてくる。
エンジンはN63型と呼ばれる4.4L V型8気筒の改良版。BMWの大型サルーンやSUVにも重宝されているユニットだ。アルピナはこれに新しいピストンと点火プラグ、大径タービンを備えるツインスクロール・ツインターボを与えた。
最高出力は、通常のM850i比で91ps増しの、621psを獲得。高速走行に対応するべく、冷却系の容量も50%増し。エンジンルームには、そのコンポーネントと配管がぎっしりと詰め込まれている。
そんなB8 グランクーペを、高速道路の侵入レーンで加速させる。真っ先に体感させられたのは、2000rpmから発揮される81.4kg-mという怒涛のトルクだった。
クランクスピードが遅い段階から、B8 グランクーペは怒涛の勢いで速度を高める。強化されたZF社製の8速ATが搭載されているが、4速でも加速は鋭い。
スポークが美しい21インチホイールを履き、路上でのプレゼンスもB8は群を抜く。トランスミッション・フルード用のアルミサンプを追加した都合で、最低地上高が僅かに高められたことも理由だろう。誰が見ても、エレガントだと表現できるはず。
0-100km/h加速は3.4秒。B8 グランクーペの車重は2100kgもあるのに、法外に速い。
4.0L V8から639psと91.6kg-mを獲得
もう一方の4ドアクーペは驚異的なベンチマーク、メルセデスAMG GT 4ドアだ。発表は2017年。AMG GT クーペの痛快なパーソナリティを、4ドアサルーンに落とし込もうと試みたことは、その名前からも明らかだろう。
だが実は、手が加えられたEクラス用プラットフォームがベース。エンジンは、E 63と同じもの。果たしてGT クーペの4ドア版と呼べるのか、当初はその能力に疑問を持たなくもなかった。
ところが、その疑いは大きな間違いだった。GT 4ドアは本物のグランドツアラーとして、最高の選択肢に仕上がっていた。素晴らしいグランドツアラーに、ドアを4枚付けたようなクルマだ。
アルピナB8 グランクーペの隣に並ぶと、ボディはより曲線的で少し小ぶり。それでも、威嚇感ではAMG GT 4ドアの方が上だ。フロントグリルは主張が大きく、テールまわりのボリュームもある。
ドライバーを包み込むような車内に身をおき、エンジンのスタートボタンを押す。639psと91.6kg-mの4.0L V8ツインターボに火が入ると、いかにもAMGらしいグズ付いたエグゾーストノートが、ボディ全体に響き始める。
ステアリングホイールを少し切ると、ドライバーは魔法にかかる。クルマに強く惹き込まれる。
スペック表を見ると、こんなにも、と思うほど技術が満載。後輪操舵にブレーキ制御のトルクベクタリング、エアサスペンション、多彩なESCモード、リアタイヤの電子制御デフなどが、お互いにリンクして搭載されている。
この続きは後編にて。