【MBDとは】手戻りのない世界一の開発効率へ クルマのモデルベース開発

公開 : 2021.09.25 19:45  更新 : 2023.11.24 14:31

国内の自動車/部品メーカー10社がタッグを組み、「MBD推進センター」が誕生。自動車産業の未来は、モデルベース開発がキーとなるのでしょうか。

10社がタッグ MBD推進センター発足

トヨタ日産ホンダマツダスバルの自動車メーカー5社と、アイシン、ジヤトコ、パナソニック三菱電機、デンソーの部品メーカー5社が、9月24日に「MBD推進センター」を発足させた。

これは、2015年に経済産業省が主導で立ち上げた「自動車産業におけるモデル利用のあり方に関する研究会」が取りまとめてきた「SURIAWASE2.0の深化~自動車産業におけるMBDの産学官共同戦略プロジェクトの方針~」を民間主体で継承したもの。

100年に一度の大変革期と言われる自動車産業。「すべてのプレイヤーが規模の大小を問わず」高効率な開発ができるように、基礎的なモデルでつながっていこうとするのがMBDの考え方。写真はマツダの電気自動車、MX-30 EV。
100年に一度の大変革期と言われる自動車産業。「すべてのプレイヤーが規模の大小を問わず」高効率な開発ができるように、基礎的なモデルでつながっていこうとするのがMBDの考え方。写真はマツダの電気自動車、MX-30 EV。    マツダ

MBDとは「モデルベース開発」のことで、参画企業のすべてが基礎的な技術開発を共有するという画期的なシステム。

基本理念は「MBD技術を広く普及展開し、モデルを用いた高度なすりあわせ開発・SURIAWASE2.0を実現して、日本の自動車産業の国際競争力向上に貢献する」という。

また、ビジョンについては「カーボンニュートラル対応やCASEなどの車両技術革新をMBDで推進し、SDGsに貢献する」、「すべてのプレイヤーが規模の大小を問わずモデルでつながり、高効率な研究開発を推進できるようになる」とのこと。

その目指す姿は「SURIAWASE2.0」が実現した状態だ。

2024年~ 中小部品メーカーにも普及

具体的には、「学(大学など)によるMBRで新しいモデルを創出し、産(企業)によるMBDではエンジニアリングチェーンに連なる部品メーカーと自動車メーカー間でのすり合わせ開発に同じモデルを用いて高効率化をすることで、手戻りのない世界一の開発効率を実現するとともに新しい価値を創造する」としている。

MBD推進センターステアリングコミッティ委員長の人見光夫氏(マツダ)は、「今回、日本の自動車メーカー5社と部品メーカー5社、および事務局として日本自動車研究所(JARI)に加わっていただき、モデルベース開発を全国の自動車産業に普及させるための組織を発足させました」とコメント。

9月24日、MBD推進センターの発足説明会が、報道向けにオンラインで開催された。
9月24日、MBD推進センターの発足説明会が、報道向けにオンラインで開催された。    マツダ

「このセンターでの活動を通じて、日本の自動車産業の国際競争力を向上させるとともに、将来のデジタルものづくりを担う人材育成に取り組みます。また、多くの大学・研究機関、ツールベンダー、エンジニアリングサービスプロバイダ他関連の皆様にも共感し賛同いただくことで、この取り組みの輪を大きく広げ、日本のものづくりの発展に寄与していきます」と展望を語った。

MBD推進センターでは数年ごとに目標を掲げている。

2021~2023年

立上期と位置づけ、主要なOEM/大手部品メーカーではMBDが普及し、中小部品メーカーでもMBDの認知が拡大。

2024~2030年

拡大期として、OEM/大手部品メーカーだけでなく中小部品メーカーでもMBDの普及・流通が加速し、効率化を実現。

2031年以降

安定自走期としてエンジニアリングチェーン全体がモデルで有機的につながり、新しい価値が次々に創造される。

加入するメーカーのすべてが今までにない高効率の開発ができるようになるという「MBD」。

未来の日本の自動車産業にとって大きな武器に育つことを期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    浜先秀彰

    Hideaki Hamasaki

    千代田工科芸術専門学校写真科を卒業後、自動車専門誌編集部スタッフを経て、フリーランスライターとして独立。現在は執筆、編集、撮影を一人で行うことも多い。カーナビやドラレコのレポートを得意とするが、守備範囲はカスタムパーツや洗車ケミカル、車内小物までを含むカー用品全般となる。YouTube「カーグッズチャンネル」を2021年より運営。

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