【100年かけて…】クルマのワイパー、地味に変化 変わりつつあるウォッシャー噴射の位置
公開 : 2021.10.01 05:45 更新 : 2021.10.09 23:40
100年以上も前から形を変えないワイパー。最近、ウォッシャー液がノズルから出る進化系ワイパーの採用が増えています。
100年以上前から形を変えず
昔からクルマ好事家の間で交わされている会話がある。
それが「ワイパーの代わりを発明したら、億万長者になれるぞ」というもの。
フロントウインドウについた雨粒をゴムのブレードで拭き取るというワイパーの基本は、100年以上も前の発明時から何も変わっていない。
そのために「もっと素晴らしい技術」を考案できれば、大きな利益を手にできるというわけだ。
一時期、ブレードではなく、超音波で水を弾き飛ばすアイデアが商品化されるという話が出たが、結局のところ、今もって製品化はされていない。
とはいえ、ワイパーが何も進化してこなかったわけでもない。
最初は手で動かしていたワイパーは、すぐにモーター駆動化された。その後、動くスピードを変化させる間欠ワイパーが登場。
さらに雨の有無や量を感知するセンサーも備わるようになった。
姿こそ、そのままであるが、その中身は少しずつ進化しているのだ。
そんなワイパーの現代の最先端の姿が、ウォッシャー液噴射ノズルのワイパーアームへの配置だ。
これまでウォッシャー液噴射ノズルは、車体側に設置されてきた。
その位置をワイパーのアームに移すのだ。いってしまえば単純な改良だ。しかし、効果はてき面だ。
ポイントは拭き取りのタイミング。従来の方法だと、噴射後にフロントガラス一面にウォッシャー液が広がり、一瞬、前の視界が奪われる。
ところが、アームから噴射すれば、その後すぐにウォッシャー液を拭き取れる。ほとんど視界が奪われることがないのだ。
最新ワイパー シビックにも搭載
ウォッシャー液を使っても視界を奪われることがない。
そんなメリットが、ウォッシャー液噴射ノズルのアーム配置にあった。
しかし、当然、その機能を実現するにはコストが嵩む。そのため採用は、メルセデス・ベンツやBMW、ボルボなどの輸入車プレミアムクラスから始まった。
日本車では、トヨタの「レクサスLS」や「レクサスLC」、「センチュリー」や「クラウン」、「ミライ」といった、やはりプレミアムクラスから採用が進んでいる。
トヨタの場合は、これらの新機能を「ダイレクトスプレー機能」と呼んでいる。
ホンダも「クラリティPHEV」に「スマートクリアワイパー」の名前で採用されていた。
しかし、近年になって、様子が少し変わってきた。
もう少し手の届きやすい価格帯のクルマでも採用が始まったのだ。その代表格が「マツダ3」、「CX-30」、「MX-30」といったマツダの新型モデル群である。
マツダの場合、呼び名は「レインセンサーワイパー(フロント)感度調整式」となっている。
ウォッシャー液噴射ノズルの位置だけでなく、ワイパーそもそもの設置場所もボンネット下にすることで、エクステリアをすっきりと見せ、ドライバーからの下方視界も向上させる。
そして、今年になって登場した、ホンダの「シビック」も、同機能が採用されていたのだ。Cセグメントの大衆クラスに拡大しているのだ。