【アストン マーティン祭り】前編 現存最古のA3 ラゴンダV12 ザガート・シューティングブレークほか

公開 : 2021.10.17 07:05  更新 : 2021.10.18 07:52

アストン マーティンDB Mk III(1958年)

オーナー:アラステア・ギレスピー

スマートなハッチバックは、英国在住のアラステア・ギレスピー氏が所有する1台。彼が住むウェストミンスターの町で日常的に利用している、唯一の愛車でもある。

アストン マーティンDB Mk III(1958年)
アストン マーティンDB Mk III(1958年)

「カナダ生まれで、幼い頃はシボレーのV8エンジンで育ったようなものです。それから英国製のクルマへ興味が移り、ジャガーEタイプやXK120、XK150などに乗りました」。とギレスピーが振り返る。

「英国への移住を期に別のクルマを探し始め、これを発見しました。3年前にオランダで。過去にレストアされていましたが、さほど乗られることはなかったようです。購入後にメカニズムの作業を行い、今ではすっかり好調です」

「ボディはオリジナルカラーで、インテリアも純正のまま。このクルマを買おうと決めた理由の1つでもあります」

「もともとはAHLエクルズというレーシングチームに納車されたクルマで、かなりの数のレースに参戦していたようです。今は特に気を使わず、雨の日でも乗っています」

「コーンウォールからグラスゴー、ノースコースト500を走る、6週間のドライブ旅行も過去に楽しみました。このMk IIIがビッグベンの付近を走る姿も、しばしば見れると思いますよ」

ラゴンダV12(1939年)

オーナー:アンディ・チスホルム

オーストラリアで、素晴らしいコンディションのラゴンダV12を発見したというアンディ・チスホルム氏。だが結果的に、2台のラゴンダを所有することになった。

ラゴンダV12(1939年)
ラゴンダV12(1939年)

「オーナーズクラブから、ロング・ホイールベース版のV12があるという話を聞きました。オーナーが亡くなり、その息子はクルマの売却を考えていたんです」。チスホルムが当時を振り返る。

「彼へ連絡し、ショートシャシーのスポーツサルーンを探している、という本意を伝えると、なんとそのクルマも持っているとのこと。結果的に2台とも買うことに決めました」

「このラゴンダは1960年以降、まったく手が加えられていません。乾燥した環境で保管され、オリジナルの状態が保たれています。驚きますよね」

ボディはオリジナルペイントで、修復で施された塗装は2・3か所に留まるという。インテリアも見事な状態が保たれ、純正のツールキットも残っている。左フェンダーのスペアタイヤ・カバー内側には、作業用の補助灯も付いたままだ。

蒸気船でオーストラリアへ運ばれる際、窓にワックスクレヨンでメモ書きされた「キー23番」という文字まで残る。「レストアするつもりはありません。でも、このクルマをどう残すべきか、考えを整理できてもいません」

「ちゃんと走ります。この会場へも自走で来ました。タイヤも60年前のものなので、公道走行は避けたいところですが」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    ポール・ハーディマン

    Paul Hardiman

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マック・アーリー

    Mac Earey

  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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