【FCEVの可能性】フォード 燃料電池車の商用研究開始 トランジットBEVベースの試作車製作

公開 : 2021.09.28 18:25

フォードは商用バンのトランジットをベースとした水素燃料電池車を開発し、商用ユースの可能性を探ります。

商用車における水素利用の可能性

執筆:Jack Warrick(ジャック・ウォリック)
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)

フォードは、パワートレインの試験を行う英国のAVL社と協力して、商用バンのトランジットのFCEVプロトタイプを開発した。商用車分野における水素パワートレインの適合性をリサーチする。

このプロジェクトは英国政府から資金援助を受けており、水素技術に関する知識と技術の向上を目的としている。

フォード・トランジットFCEV
フォード・トランジットFCEV

パワートレインは、モジュール化された燃料電池システムを採用している。ベースとなるトランジットBEVの電気モーターはそのままに、バッテリーを小型化し、プロトン交換膜(PEM)燃料電池システムを搭載する。

フォードはAUTOCARに対し、その理由をこう説明している。

「既存のBEVモデルと比較して、トランジットFCEVプロトタイプは内燃機関と同様の充填時間など、顧客の生産性を向上させる機能を持ちながら、ゼロ・エミッションを実現しています」

「このプロジェクトは、燃料電池システムの商業的な実現性をより深く洞察し、より広い範囲での展開を可能にするためのステップです。また、市場導入に向けて顧客の使用上の課題を深く理解するためのものでもあります」

フォードと協力しているAVLは、次のように述べている。

「パートナー企業や英国の一般的なサプライチェーンにとって、このプロジェクトは燃料電池におけるノウハウと技術力を高めるものです」

「プロジェクトで得られたツールや技術的知識は、次の段階の燃料電池研究に使用され、製品やサービスの商業的実現性についてパートナーに情報を提供します」

AVLによると、プロジェクトではさまざまな「顧客のユースケース」における要求の違いを含め、商用FCEVを実現するための要件も調査するという。また、商用ユースにおけるBEVと比較した場合のFCEVの利点(航続距離、高速充填、積載量など)を分析することも重要な課題となる。

新型トランジットBEVは、2022年春に英国で発売される予定で、航続距離350km、最大25種類の仕様を備えている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事