【0-100km/h加速3.0秒】メルセデスAMG GLE 63 Sへ試乗 612ps 強く優しいSUV
公開 : 2021.10.07 08:25 更新 : 2021.10.11 17:46
メルセデスAMGのGLEに、612psの強心臓を獲得した63 Sが登場。非現実的なほど幅広い能力に、英国編集部も強く印象付けられたようです。
もくじ
ー獰猛な牙を見事に包み隠す穏やかさ
ー最高出力612ps、最大トルク86.5kg-m
ー途方ないほどパワフルで、感動するほど快適
ーメルセデスAMG GLE 63 S 4マティック+(英国仕様)のスペック
獰猛な牙を見事に包み隠す穏やかさ
メルセデスAMGは、高性能SUVの人気を積極的に受け入れ、モデル展開を進めてきた。コンパクトなGLAからトップレンジのGクラスに至るまで、幅広い加熱メニューでホットな仕様を用意している。
大柄なボディを持つGLEにも、メルセデスAMGは着手済み。マイルド・ハイブリッドとターボチャージャーが組まれた3.0L直列6気筒エンジンを搭載し、435psを発揮する53をラインナップする。
しかし、アウディRS Q8やBMW X5 Mコンペティション、ポルシェ・カイエン・ターボなど、競争力の高いモデルが次々に登場。アストン マーティンはDBXをリリースし、ベントレー・ベンテイガにもスピードが追加されている。
技術者集団のメルセデスAMGは、今以上のGLEが必要だと感じたのだろう。さらにパワフルな、GLE 63 Sの登場と相成った。
大きなSUVにスーパーカー級の馬力を発揮するエンジンを載せたと聞けば、穏やかではないモデルを想像するだろう。サスペンションは硬く、リラックスした運転は難しいと思うはず。
しかし実際は、獰猛な牙を見事に包み隠すように、静かで滑らか。ふんだんに搭載されたセンサー類と運転支援システムのおかげで、狭い路地でも驚くほど運転しやすい。
優しいドライビング体験に満足していると、アッファルターバッハの技術者が生み出したSUVだということを忘れてしまいそうになる。気を取り戻してアクセルペダルへ少し力を込めれば、AMG謹製の4.0LツインターボV8エンジンの片鱗が見えてくる。
最高出力612ps、最大トルク86.5kg-m
このユニットは、メルセデスAMGのモデルで63の番号が付く、トップグレードの多くに搭載されているもの。だが約2.5tの質量を賄うために、さらに22psの電気モーターがアシストする。
GLE 63 Sの最高出力は612ps、最大トルクは86.5kg-mを発揮。その結果、0-100km/h加速は驚くべき3.0秒を達成している。スーパーカーでも速いと表現できる数字だが、大きなラグジュアリーSUVなのだから、あ然としてしまう。
現実的な道路環境では、ドライビングモードをスポーツ+にせずとも、たくましいV8エンジンのおかげで極めて安楽。一切の苦労を感じないまま、高速道路の追い越し車線にも合流できる。
強大なトルクのおかげで、質量の大きなボディの速度を維持することも容易。ドライバーが、気を揉むことはほぼないはず。
AMGによってチューニングされたエアサスペンションとアダプティブダンパーは、積極的なドライビングモードを選択しない限り柔軟な乗り心地を与えてくれる。コンポジット素材の高性能ブレーキとアンチロール・サスペンションも、コーナリングで頼もしい。
大きく重いGLEのボディを、AMGは巧みに包み隠すことへ成功している。しかし、実際の道路環境を広げられるわけではない。特に英国のタイトコーナーの続くような区間では、その事実を実感させられる。