【ドイツ御三家へ挑戦状】ジェネシスG70 2.0Tへ試乗 一部の仕上がりは競合以上

公開 : 2021.10.10 08:25  更新 : 2021.10.11 17:45

FRの良好なシャシーバランス

ジェネシスG70の仕上がりは、部分的には高い。フロントノーズが長いものの、軽量な4気筒エンジンが載り、車重の割に意欲的に回頭してくれる。ターボラグが感取されるが、エネルギッシュさもあり好感が持てる。

基礎構造をキア・スティンガーGT-Sと共有していることもあって、シャシーバランスに優れ扱いやすい。郊外の流れの速い道でも、滑らかに路面を進んでいく。特に、垂直方向の姿勢制御が得意なようだ。

走行時のフィーリングにも、おしなべて洗練さを感じる。不足ない中回転域でのトルクが、印象を高めている。

一方で、積極的にペースを速めた時のダイナミックな輝きは今ひとつ。ステアリングホイールの反応は鋭いものの、手のひらへの感触はほぼない。8速ATのシフトマップも、期待へ充分には応えてくれない。

路面状態が悪くカーブの連続するような区間でペースを速めると、サスペンションが対応しきれず落ち着きが薄れてしまう。路面への追従性が弱くなり、ドライバーとの一体感は高まらない。FRでも、ジャガーXEやBMW 3シリーズとは異なる。

オプションで本皮となるシートは、幅が広く快適。スポーツ・モードでの走りを支える、サイドボルスターも柔らかく心地良いのだが、着座位置が高すぎる。

車内は全般的には居心地が良い。リアシート側の足もと空間は少々不足気味。一部のスイッチ類などはジェネシスではなく、キアのものに近く感じられた。

興味深い4ドアサルーンの新提案

ジェネシスG70という提案は興味深い。顧客の元へジェネシスの担当者が訪問するという、カスタマーサービスも新しい。このクラスでは、最も身近にモデルを体験することができそうだ。

一部のスポーティ・サルーンと比較して、優れていると感じる部分もあることは確か。一風変わった雰囲気を持つ、新しい選択肢の登場といえるだろう。

ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)
ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)

ジェネシスG70 2.0T スポーツライン(英国仕様)のスペック

価格:4万480ポンド(615万円)
全長:4685mm
全幅:1850mm
全高:1400mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:11.3-12.5km/L
CO2排出量:182g/km
車両重量:1675kg
パワートレイン:直列4気筒1998ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:244ps/6200rpm
最大トルク:35.8kg-m/1400-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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