【古いのになぜ?】トヨタがカローラ・アクシオ/フィールダーを廃止しないワケ

公開 : 2021.10.05 05:45  更新 : 2021.10.22 10:06

旧型ベースのカローラが売れるワケ

トヨタの商品企画担当者にも、カローラ・フィールダーとアクシオの需要について尋ねた。

「カローラはもともと法人のお客さまが多い。3ナンバーサイズの新しいカローラが登場する前の段階でも、アクシオの購買層の50%以上が法人のお客さまだった」

トヨタ・ヤリス
トヨタ・ヤリス

「フィールダーでも30%を占めていた。法人のお客さまにとって、5ナンバーサイズのボディと価格の安さは重要だから、今でも新型と併売している」

レンタカーやカーシェアリングの需要もある。

レンタカーでは、カローラ・アクシオと新しい3ナンバー車のカローラ・セダンで、料金のクラスが異なる場合もある。

仕事でレンタカーを借りるとき、カローラ・アクシオは大切な選択肢だ。

以上のようにカローラは、仕事で使う法人需要やレンタカー、カーシェアリングなど、一般ユーザー以外の需要も多い。

開発者によると「3ナンバーサイズの現行カローラも、約50%を法人のお客さまが占める」という。

このあたりはトヨタの事情だろう。

国内で新車として売られる小型/普通車のうち、50%以上をトヨタが占める。そうなるとトヨタ車の需要も幅広く、法人などの顧客も多い。

その代表がカローラだ。ほかのメーカーであれば、新旧モデルを併売する必要がなくても、トヨタでは大切なことなのだ。

トヨタではヤリスについても、新開発された直列3気筒1.5Lエンジンに加えて、従来から採用してきた1Lエンジンを設定している。

1LのX Bパッケージは、衝突被害軽減ブレーキを省いたから推奨はできないが、価格は140万円を下まわる。

このようなグレードを設定するのも、トヨタならではだろう。

日産がノートやキックスをeパワー専用車に整理したのとは対照的だ。

9年もの そろそろ世代交代では?

トヨタが根強い需要に基づいて、カローラ・アクシオ&フィールダーを造り続ける理由は分かったが、9年前に登場したクルマだから設計は古い。

前述のとおり安全装備を改良したが、衝突安全性能を含めて、3ナンバーサイズのカローラやヤリスに比べると安全性が見劣りする。

トヨタ・カローラ・セダン/ツーリング/クロス/スポーツはいずれも3ナンバーとなる
トヨタ・カローラ・セダン/ツーリング/クロス/スポーツはいずれも3ナンバーとなる    トヨタ

カローラ・アクシオ&フィールダーの需要が根強く、今後も売り続けるなら、GA-Bプラットフォームを使うヤリスをベースにした5ナンバーサイズのセダン&ワゴンを開発すべきだ。

かつてのヴィッツをベースに開発したコンパクトセダンのプラッツやベルタは、5ナンバーサイズだった当時のカローラ・セダンと競争して、売れ行きを低迷させた。

しかし今はカローラ・セダン&ツーリングが3ナンバー車になって価格も高めたから、ヤリス・セダン&ワゴンも成立する。

今は国内で新車として売られるクルマの40%近くが軽自動車で、ホンダでも軽自動車比率が50%を超えた。日産も約40%を占める。

このような市場環境では、トヨタを中心に小型車の売れ行きを守るうえでも、ヤリス・セダン&ワゴンは大切な商品になる。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事