【知っておいて損はない!】今さら聞けない「ハイブリッド」とは? マイルドとストロングの違い
公開 : 2021.10.05 06:25 更新 : 2021.10.05 22:59
ストロングまたはフル・ハイブリッド
ハイブリッドというと、まず思い浮かぶのがトヨタのプリウスだろう。初めてのハイブリッド車というわけではないが、この技術を世界に普及させたのはプリウスだ。今日、シリーズ・パラレル・ハイブリッドやセルフ・チャージング・ハイブリッドとして知られている。
「ストロング」とも「フル」とも呼ばれ、これまで見てきたマイルド・ハイブリッドよりも開発・製造コストは高くなるが、エンジン車としてもEVとしても振る舞うことができる。そのため、高度なトランスミッション、大型バッテリー、複雑な制御システムが必要となる。
プリウスを例にとると、低速域ではバッテリーを使って電気モーターを駆動し、基本的にはEVのように走る。しかし、スピードを上げたり、バッテリーへの負担が大きくなると、エンジンが始動する。
しかし、エンジンはクルマを走らせるのではなく、バッテリーの発電機として使われる。これをシリーズモードと呼ぶが、エンジンとモーターを連動させて走行するパラレルモードにも対応している。また、電気モーターを切り離して、エンジンだけで走行することも可能だ。
構造は複雑である。MG1はマイルド・ハイブリッド車に搭載されているようなスターター/ジェネレーター、MG2は発電機を兼ねたドライブモーターだ(それぞれ回生ブレーキでバッテリーに電力を戻すが、MG1はエンジンを発電機として利用することで充電できる)。これらはいずれもエンジンと一体となって動作する必要がある。
そのためには、ハイブリッドの心臓部であるパワースプリッターと呼ばれる装置が必要だ。簡単に言えばトランスミッションだが、従来のエンジン車のトランスミッションよりもはるかに多くの機能を持っている。
ここでは、他のストロング・ハイブリッド車にも同様のシステムが採用されているプリウスを例に説明する。このパワースプリッターはよくCVT(無段変速機)と呼ばれるが、理想的な変速比を維持して効率を高めるという点では同じではあるものの、実際には仕組みが異なる。
従来のCVTのベルトやプーリーではなく、遊星ギアを使用し、2つの電気モーターと一緒にエンジンに搭載されている。スロットルやギアセレクターを介したエンジンとの物理的な接続はなく、コンピューターが状況に応じてどこにパワーを送るのが最適かを判断する。
セルフ・チャージング・ハイブリッドは、エンジンの効率を最大限に引き出すように設計されている。電気モーターの発電能力が比較的限られているため、小型のバッテリーを搭載する傾向があり、通常は2~3km程度のEV走行しかできない。しかし、パワースプリッターを搭載しているため、走行速度に関係なくエンジンを最も効率の良い回転数で走らせ、電気モーターで推進力を得ることができる。
ボルボのT8リチャージのように、4輪駆動の電動モデルでは、シリーズ・パラレル・ハイブリッドの駆動方式が若干異なる。エンジンとトルクコンバーター式ATが、マイルド・ハイブリッド方式のスターター・ジェネレーターと組み合わせて前輪を駆動し、リアに搭載された電気モーターが後輪を駆動する。EVモードでは電気モーターで走り、高速走行時にはエンジンにバトンタッチする。より大きなパワーが必要な場合は、電気モーターとエンジンの両方がパラレル・システムとして動作し、スターター/ジェネレーターが実質的なパワースプリッターの役割を果たす。