【歴代ボンドカー傑作選】映画「007」シリーズ 世界最高のスパイが選ぶ名車と珍車
公開 : 2021.10.09 06:05
アルファ・ロメオGTV6(1983年「オクトパシー」)
ボンドの歴史の中で、イタリア車は全くと言っていいほど目立たない。「ゴールデンアイ」ではフェラーリF355が登場するが、30年前のアストンDB5からは逃げられないようだし、「オクトパシー」でアルファ・ロメオGTV6がカメオ出演していることは盛大に祝うべきだろう。映画の出来はさておき、制作スタッフの誰かがV6エンジンとトランスアクスル搭載のアルファを知っていたのだ。
だからこそ、ボンドが電話ボックスの中にいる女性からGTVを盗み出した後、ドイツのはずなのに英国のような雰囲気の道路で、豪快なドリフトをしたり、素晴らしいサウンドを奏でたりと、贅沢な時間を過ごすことができたのだ。彼らはGTV6を気に入ったに違いない。
アストン マーティンDBS(1969年「女王陛下の007」)
007としては控えめなアストンで、ギミックの搭載は知られていない。登場シーンは驚くほど少ないのだが、トレイシー・ボンド夫人が息を引き取った際のクルマとして記憶されている。
DBSは、当初はV8を搭載する予定だったが、エンジンの生産が間に合わず、DB6の直列6気筒を搭載することになった。V8モデルは後に生産されたが、映画の撮影には間に合わなかった。直6モデルとの違いは、ホイールがスポークではなくアルミであることだ。
メルセデス・ベンツ600(1969年「女王陛下の007」)
悪役に人気のリムジン。「女王陛下の007」で悪役のブントとブロフェルドが使用したほか、「ダイヤモンドは永遠に」でもブロフェルドが、「オクトパシー」ではカマル・カーンが一時的に使用した。
驚くべきことではない。大きくて渋くて威嚇的なベンツは、悪党の移動手段として最適だったのだ。また、300psの強力な6.3L V8を搭載していたため、ボンドが時々運転しなければならないようヤワなクルマにも十分に対抗できた。
ロールス・ロイス・ファントムIII(1964年「ゴールドフィンガー」)
富裕層で英国好きのオーリック・ゴールドフィンガーにとって、1998年にシルバーセラフが登場するまでロールス・ロイスで唯一V12エンジンを搭載していたファントムIII以上のクルマはないだろう。
7.3LのV12エンジンから得られるパワーは、3500kgの車体を動かすには十分。AUTOCARが記録した0-97km/h加速のタイムは16.8秒で、1.2Lのダチア・サンデロより1秒速い。