【詳細データテスト】ルノー・メガーヌ 斬新で優秀な動力系 室内装備は改善 次期モデル期待

公開 : 2021.10.09 21:25  更新 : 2021.10.19 12:02

走り ★★★★★★☆☆☆☆

Eテック・ハイブリッドシステムは、自動車業界において、最近の量販車に投入されたエンジニアリングとしてはとくに興味をそそるもののひとつだ。それを踏まえると、メガーヌEテックを運転する際には、エンジンルーム内でなにが起こっているか考え過ぎないのが得策だという事実が、じつに皮肉に思える。

そこがルノーの狙いだったに違いない。というのも、デジタルのメーターパネルは、どうやっても回転計やギアのインジケーターを表示できないのだ。しかも、ギアの選択は機械任せで、ドライバーのマニュアル操作を受け付けないのである。

複雑なシステムがスムースに連携するさまはみごと。出力の割に動力性能も高いのだが、ルノーがアピールするほど走りはスポーティではない。ファミリーカーに適した柔軟な使い勝手のほうが重視された印象だ。
複雑なシステムがスムースに連携するさまはみごと。出力の割に動力性能も高いのだが、ルノーがアピールするほど走りはスポーティではない。ファミリーカーに適した柔軟な使い勝手のほうが重視された印象だ。    OLGUN KORDAL

このメガーヌ、160psとしては十分すぎるほどのパフォーマンスを見せる。0−100km/h加速は公称9.4秒だが、9秒フラットも不可能ではない。ただし、そこはバッテリーの充電量に左右されるが。

ただし、ルノーいうところの「ダイナミックで楽しいドライビング体験」は不十分だ。通常の使い方をしていればエンジンはきわめて静かで、4速トランスミッションはどの段もかなりのハイギアに感じられる。そのため、瞬発的で途切れないピュアEV的なパンチも、スロットルペダルを踏むにつれてエンジンが回転を上げていく感覚も、どちらも味わえないのだ。

ハードなドライビングでは、パワートレインがやや息苦しそうで、ガソリンエンジンがかなりノイジーになる。ルノーは、このギアボックスのテクノロジーはF1にインスパイアされたものだと主張する。ところが、そうたとえるにふさわしい変速スピードは絶対にない。回転合わせに時間がかかり、加速が明らかに途切れるのだ。

ファミリーカー向けのハッチバックとしてみれば、おそらくそれより、トヨタのハイブリッドパワートレインがみせるような、融通の効くフィーリングのほうを重視したのだろう。普通に運転すれば、スムースで静かに走る。スロットルのレスポンスはややソフトだが、ほどよいパワーが手軽に引き出せて、リニアな特性だ。

負荷が軽いと、シフトチェンジをドライバーに感じさせず、大きいほうのモーターには、エンジンが作動していないときを補うのに十分なパワーがある。またEテックシステムは、その複数のパワートレインを、移行するときのショックや遅れを発生させずにうまく協調させている。

EVモードはセンターコンソール上の、そうと明記されたボタンを押すと作動できる。フル充電状態で、エンジンが介入するまでに走行できた距離は43km少々で、これは公称データに5km弱足りない。

モーターの出力は65psしかないので、電動走行は活発とはいかないが、市街地走行なら上々の走りをみせる。また、モーターでも2段の変速を利用できるので、高速道路の速度域をキープするような、明らかに向いていない使い方でも楽にこなす。

このメガーヌが、ドライバーの変速操作を受け付けないことは先に述べた。だが、バッテリーの使い方にかかわるギア比の選択はある程度コントロールできる余地がある。

ナビゲーションシステムに目的地を入力すると、Eテックシステムはそのデータに基づいてバッテリー使用量を調整し、最適化を図る。また、ドライバーがEセーブモードを選択すれば、一定のバッテリー残量を維持し続けるし、セレクターレバーをBモードに入れれば、スロットルを抜いた際の回生ブレーキの効きを高めることができる。

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