【最新CクラスにPHEV登場】メルセデス・ベンツ C 300eへ試乗 EVモードで99km

公開 : 2021.10.16 08:25

2クラスほど上の上質な移動体験

多くの場合、C 300eは流れるように滑らかに、粛々と進む。EVモードでの能力には余裕があり、必要に応じてガソリンエンジンがパワーをアシストしてくれる。

PHEVの実力を発揮させるような勢いで加速すると、エンジンがやや遅れ気味に起動し、こもったノイズが聞こえてくる。9速ATも最適なギアへ変速するのに、少し悩む場面も見られる。しかし、それは限定的。

BMW 330eの方が、ドライブトレインは快活に働き、ガソリンエンジンも軽快に吹け上がる。だが、直接に乗り比べなければ実感しにくい差異だろう。C 300eのオイルのような滑らかさは、明らかなストロングポイントだ。

C 300eの場合、ホイールは控えめな18インチで、PHEVのCクラスには共通でエアサスペンションが組まれる。そのおかげで乗り心地はハイペースでの郊外も、ゆったりとした市街地も、非常に好感触。

スプリングの設定はソフト志向で、ボディロールは大きめ。だが、しっかり制御できている。高速道路でも静かで、筆者の腕時計の針が動く音すら聞こえるほど。

腕時計の音は、走行時の洗練性を評価する1つの指標にしているのだが、Cクラス級のDセグメント・サルーンで聞こえるのは異例。通常、2クラスほど上のモデルで達成できる水準といえる。

試乗車はC 300eのAMGラインだったが、18インチホイールとの組み合わせは、Dセグメントで最もリラックスした移動を叶えてくれるといっていい。

Sクラス・ライトとしての目標を達成

トレードオフは、興奮するような要素が殆どないこと。力強くグリップし、シャシーバランスにも優れるが、ステアリングホイールの感触は非常に薄い。ペースを速めても、楽しさが生まれてこない。

ブレーキペダルを踏んだ時の感触も、正確性に欠ける様子。とはいえ、郊外の道をハイペースで流す場面でも、柔らかいサスペンションが充分に対応してくれる。PHEVのBMW 3シリーズに離されることはないだろう。

メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)

メルセデス・ベンツは、常に奥深い味わいを与えてくれる。最新のCクラスも同様だ。ラグジュアリーで好燃費なC 300eは、Sクラス・ライトとしての目標を、見事に達成できていると感じた。

メルセデス・ベンツCクラス C 300e AMGライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万4500ポンド(676万円)
全長:4751mm
全幅:1820mm
全高:1438mm
最高速度:244km/h
0-100km/h加速:6.1秒
燃費:90.9-142.8km/L
CO2排出量:14-24g/km
車両重量:1850kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1999ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:312ps(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:9速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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