【選ぶなら四駆のVT】ランボルギーニ・ディアブロ 5.7L V12の魔力 英国版中古車ガイド

公開 : 2021.10.18 08:25

ドライビングマナーに優れる四輪駆動のVT

ディアブロVTのサスペンションには、4モードから選べるアクティブ・システムを採用している。さらに四輪駆動システムは、最大で25%までエンジンのトルクを前輪に伝えることを可能としていた。

パワーステアリングも装備され、多くの人はドライビングマナーに優れるVTを選びたがる。クーペと同等の剛性感を持つ、VT ロードスターも探せば見つかるだろう。

ランボルギーニ・ディアブロ(1990〜2001年/欧州仕様)
ランボルギーニ・ディアブロ(1990〜2001年/欧州仕様)

一般的な所有履歴と走行距離で、不備ない整備記録を持つ状態の良いディアブロは、15万ポンド(2280万円)位からが英国の相場。V型12気筒のエキゾチックモデルとしては手頃といえ、最新のカウンタックよりも遥かに安い。

専門家の意見を聞いてみる

カール・ヴェルディ:ヴェルディ・フェラーリ社代表

「技術的な面では、ディアブロには悩みどころが少なくありません。アクセルペダルはスプリング式で重く扱いにくく、初期のクラッチペダルも重く、すぐに疲れると思います」

ランボルギーニ・ディアブロ(1990〜2001年/欧州仕様)
ランボルギーニ・ディアブロ(1990〜2001年/欧州仕様)

「ディアブロは速く走らせるのも簡単ではありません。現代のホットハッチへ簡単に追い越されるでしょうね。幅の狭い郊外の道では、すり抜けるだけで一苦労。しかし、見た目は素晴らしい。雷鳴のように轟くサウンドも」

「ベストは四輪駆動のVTです。パワーステアリングが付きクラッチも軽く、運転は楽なはず。後輪駆動より安全性も高く、挙動も予想しやすいと思います。探すなら、より扱いやすいフェイスリフト後。大きなブレーキに、小さなダッシュボードが特徴です」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

エンジンを始動させ、アクセルオフでガラガラと異音が出ないか確かめる。タイミングチェーンが伸びている可能性がある。シール材が劣化し、エンジンブロックとサンプの間からオイル漏れすることがある。

バルブ・クリアランスは、2万9000km毎のチェックが求められる。エンジンを下ろす必要があり、作業費は高い。

ランボルギーニ・ディアブロ(1990〜2001年/欧州仕様)
ランボルギーニ・ディアブロ(1990〜2001年/欧州仕様)

ラジエターの状態と、冷却ファンが正しい温度で回転するか確認する。後期モデルに付く可変バルブタイミング機構は、劣化したオイルが原因でシステムに不具合が出ることも。

トランスミッション

シングルプレート・クラッチの寿命は、長くても4万km。初期のディアブロでは、スレーブシリンダーのプルロッドが壊れやすい。後期モデルではプッシュロッド式に交換されており、信頼性は上がっている。

トランスミッション自体も不具合を抱えがち。シフトレバーは、ゲートに入る時にスナップするような音を立てることがある。

ステアリングとブレーキ、サスペンション

初期のディアブロのブレーキは効きが弱い。シャシー側のウイッシュボーン・ブッシュは壊れやすい。交換費用は安くない。

リアのダンパーは大きなエンジンの重量を支え、放たれる熱で劣化が早い。定期的な交換が必要となる。

ボディ

工場での製造管理が不十分だったため、スチール製のシャシーとアルミ製のボディが触れる部分で、ガルバニック腐食が発生する場合がある。特にドアの下部やホイールアーチ、荷室のフロア、燃料キャップまわりは確認ポイント。

インテリア

車高が低いディアブロだから、乗り降りで内装は擦れやすい。スイッチ類やサイドシルの傷にも注意。レザー内装は品質が高いとはいえず、バラけてしまうこともある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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