【ヤリス食い?】トヨタ・アクア絶好調 カブってるのか、いえいえ差別化ぬかりなし

公開 : 2021.10.09 20:25  更新 : 2021.10.15 20:46

運転環境 「思想」にちがい?

運転環境でも両車の違いを感じることがある。

クルマを運転するたびに動かすことになる操作系、シフトセレクターやパーキングブレーキだ。

トヨタ・アクア
トヨタアクア    トヨタ

まずシフトセレクターは、ヤリスではストレートゲート式でセンターコンソールに置かれている。伝統に忠実なスタイルといっていいだろう。

一方アクアは、軽自動車やミニバンに採用例のインパネ設置型(いわゆるインパネシフト)で、操作自体も操作後のレバーが中立位置に戻って「P」へはボタンで入れる電気式だ。先進性を感じるセレクトといえる。

またパーキングブレーキも異なるタイプ。

ヤリスはセンターコンソールに置くサイドレバー式。対してアクアは足踏み式と、こちらもコンベンショナルなヤリスに対して、アクアは従来のコンパクトハッチバックとは違う感覚で作られていることが理解できる。

ここで伝えたいのは、どちらがいいとか悪いということではなく、思想が異なるということ。

ヤリスがあくまで基本に忠実なのに対し、アクアは従来の考えを踏襲するのではなく新しい感覚を盛り込むことを恐れないクルマ作りになっているのだ。

センターコンソールからシフトレバーやパーキングブレーキを排除したアクアは、センターコンソールを収納部として有効に使えるという価値を手に入れている。

キャラに明らかな違いが生まれたワケ

ところで、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は車速どちらも全車速対応で完全停止まで対応するが、停止後の対応は両車で異なる。

停止するとシステムが解除されるヤリスに対して、アクアは停止保持まで対応。

トヨタ・ヤリス
トヨタ・ヤリス

ドライバーが操作しなくても停止状態を保ち、アクセルを踏むなどドライバーの操作をきっかけに再発進までおこなえる、より高度な機能となっているのだ。

停止保持機能は「電動パーキングブレーキ装着車でないと組み込めない」といわれることも多いがそれは誤解で、電気式シフトレバー採用車であれば停止時にポジションを自動でNにできる(動力をカットできる)ので、アクチュエーターでブレーキをかけることにより停止保持が可能となる。

メカニズムでいえば、乗り心地の質感を高めるためにトヨタのコンパクトカー初となる「スウィングバルブ式ショックアブソーバー」を2WDの「Z」のフロントに採用し、「B」グレード以外のZ/G/Xグレードにはトヨタのハイブリッドカーでも初となる「バイボーラ型」と呼ぶ構造のニッケル水素電池を搭載。

走り、そしてシステムの要となるハイブリッドにも新しいメカニズムを採用するのもアクアの注目すべき特徴なのだ。

そんなアクアとヤリスの中身の違いはどこからくるのか?

それは、クルマは目指した使われ方の違いに尽きるといっていいだろう。

欧州を見据えて開発されたヤリスは、燃費、そして後席居住性よりもコンパクトに感じさせるスタイルなど現地で求められるニーズをしっかり盛り込んだ。

一方、新型から基本的に国内専用車となったアクアは、日本のユーザーにジャストなクルマ作りをおこなったのである。

記事に関わった人々

  • 工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。

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