【過少評価されてる?】陰の実力車 令和の隠れヒットモデル4選

公開 : 2021.10.10 05:45

本流に迫る台数「キャンバス」

続いての隠れヒット車は、ダイハツの「ムーヴ・キャンバス」だ。

名称のとおり、ムーヴの派生モデルとして2016年9月から発売を開始。

ダイハツ・ムーヴ・キャンバス
ダイハツ・ムーヴ・キャンバス    ダイハツ

特徴は、女性をターゲットにした可愛らしいデザインと両側スライドドアの採用だ。

とくに斬新なのは両側スライドドアだ。

通常、両側スライドドアは、もう少し背の高い「Nボックス」や「タント」「スペーシア」の専用アイテムのように考えられていた。

それを、もう少し背の低いムーヴに採用したのだ。

そして、名前のとおり、こちらもヤリス・クロスと同じく、販売台数はムーヴに含まれた。

そこで、やはりダイハツに問い合わせてしてみると、やはり、こちらも驚くほどたくさんの数が売れていたのだ。

2017年のムーヴキャンバスの販売台数は7万6732台、2018年は7万4326台、2019年が6万8487台、そして2020年は5万7183台だ。

この数字は、販売ランキング(一般社団法人全国軽自動車協会連合会調べ/軽四輪車通称名別新車販売)でいえば、年間ランキング7~9位に相当する。

一方、ムーヴはどうかといえば、2017年が14万1373台、2018年が13万5896台、2019年が12万2835台、2020年が10万4133台。

つまり、ムーヴ全体のうち、半数強がムーヴ・キャンバスであったのだ。

この大ヒットをライバルは見逃さなかった。

それが、スズキが2021年8月に投入した新型「ワゴンRスマイル」だ。

このモデルは、両側スライドドアを持ったワゴンRの派生。

つまり、ムーヴ・キャンバスとまったく同じ。ムーヴ・キャンバスのヒットがあったからこそ、ワゴンRスマイルは誕生したといえるだろう。

大成功 「ライズとロッキー」

最後の隠れヒット車は、トヨタの「ライズ」とダイハツの「ロッキー」だ。

この2台は、ダイハツが開発/生産して、トヨタにOEM供給されるという兄弟車だ。

ダイハツ・ロッキー
ダイハツ・ロッキー

2019年11月に、1Lターボエンジンを搭載する5ナンバーSUVとしてデビュー。

いわゆるAセグメントと呼ばれるコンパクトクラスでは初の本格SUVである。

クラス初のSUVであり、しかも約170万円から買えるお手頃価格ということもあってか、初期受注は好調。

11月の月間販売ランキングの4位にライズが初登場する。12月に2位、そして翌2020年1月と2月には連続してナンバー1を獲得する。

しかし、2020年2月にヤリスが登場して、トップの座を明け渡すことに。

とはいえ、その後もライズは安定した販売を続け、2020年通年(1~12月)では12万6038台を売り、ヤリスに続く、年間2位のポジションを獲得した。

また、ダイハツ版のロッキーも3万1153台を売って24位に。

これでも立派な数字だが、ライズにロッキーの2台をあわせれば15万7191台。

ヤリスは、ヤリスとヤリス・クロスをあわせて15万1766台だったことを考えれば、ライズ+ロッキーの方が上になる。

年間ベストセラーの座こそ、手に入れることはできなかったが、ダイハツ車としては、過去最高の成功を納めたといえよう。

ヤリス・クロス、ムーヴ・キャンバス、ライズ/ロッキーは、ベストセラーという栄冠を得ることはできなかったが、それでも令和初期の大ヒットモデルと覚えておくべき存在だろう。

記事に関わった人々

  • 鈴木ケンイチ

    Kenichi Suzuki

    1966年生まれ。中学時代は自転車、学生時代はオートバイにのめり込み、アルバイトはバイク便。一般誌/音楽誌でライターになった後も、やはり乗り物好きの本性は変わらず、気づけば自動車関連の仕事が中心に。30代はサーキット走行にのめり込み、ワンメイクレースにも参戦。愛車はマツダ・ロードスター。今の趣味はロードバイクと楽器演奏(ベース)。

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