フォルクスワーゲン・ポロ 1.0MPI 60SE 5ドア

公開 : 2014.04.23 23:30　　更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

ごく控えめにフェイスリフトしたポロは2013年にイギリスで42,600台以上の売上を誇り、フォルクスワーゲンのレンジではゴルフに続く2番目の売上台数になる。今回、元来優等生であったポロのどこを改善させたというのであろうか。外観は新しいLEDヘッドライトとバンパーの変更にとどまるが、どうやら一肌脱いでみると中身はすごいことになっているらしいのだ。

今回のフェイスリフトで、古い1.4ℓのガソリン・エンジンの代わりに用意した全てのエンジンが、ユーロ6に完全に対応可能になったとフォルクスワーゲンは誇らしげに言う。現段階では1ℓの3気筒ガソリン・エンジンと、1.2ℓのTSIターボ・チャージャー・エンジンが用意される。更にそれらに加えて、75psと90psのターボ・ディーゼル・エンジンが用意されるという事だ。

7月にショールームにポロが並べられる頃には、ACT(アクティブ・シリンダー・マネジメント)なる新しい機構を備えた1.4ℓのTSIターボエンジンがラインナップにも加わることになるだろう。このエンジンは、ブルーGTというウォーム・ハッチ(ホット・ハッチよりも幾分マイルド)モデルに6速マニュアルか7速DSGと組み合わせることによってのみ使用される予定である。燃費とCO2排出量はマニュアル・トランスミッションのモデルで25km/ℓと109g/km、DSGのモデルで25.6km/ℓと107g/kmとなる。

Bセグメントとしては、これらの数値がそれほど魅力的に感じられない向きがあるかもしれないが、フォルクスワーゲンにはひとつの答えがある。その答えは75psの1.4ℓターボ・ディーゼル・エンジンと95psのの1ℓガソリン・エンジンを積む2台のブルーモーション・ポロである。ディーゼル・エンジンのモデルでは燃費は38.7km/ℓ、CO2排出量が82g/km、ガソリン・エンジンのモデルの燃費は29.3km/ℓ、CO2排出量は94g/kmの数値をたたき出すことを可能にした(もっともこれらのデビューを我々はもうしばらく待たねばならないが)。

これらのエコノミー・モデルが用意されているにもかかわらず、最も良く売れるモデルは新しいエントリー・モデルに位置する60psの排気量1ℓのエンジンのモデルになるだろうとフォルクスワーゲンは予想する。このエンジンは5ドアのスペシャル・エディションに搭載され、￡13,065(193万円)で購入可能である。

しかしながら、排気量1ℓと60psという数値を並べてみてもあまり心から突き動かされる事はない。その上0-100km/h加速は15.5秒もかかり最高速度は161km/h、最大トルクである10kg-mをやっとこさ出すことが出来るのは3000ℓ4300rpmの時である。

■どんな感じ?

安価で購入でき、あなたがお急ぎの場合も不足なく仕事をしてくれる。そして1ℓエンジンは5速3000rpmで100km/h巡航が可能。4速、または3速にギアを入れてあげると、エンジンはよりいっそうハツラツとする。75psのモデルを選択すれば、より楽しく余裕のある運転を可能にしてくれるはずだ。

フォード・フィエスタ1.0エコブーストと比較すると、ポロはそれほど俊敏であるわけでもない上、面白みに欠ける点もあるが、コーナーを何食わぬ顔をして駆け抜けることができる。また、路面隆起の吸収には目を見張るものがあり、風切り音やロード・ノイズの類を車内に一切取り込まないとことも大きなアピールポイントのひとつだ。

フォルクスワーゲンは外見の手直しと同様に、内面の磨き上げにも一貫してかなり力を入れてきた。今回のポロはスマートフォンの様な感覚で操作できる、タッチスクリーンを導入した初めてのモデルでもある。スペシャル・エディション以上のグレードで、6.5インチ・スクリーンが標準装備となり、衛星ナビゲーション・システムは￡700(10万円)のオプションとなる。￡150(2.2万円)の追加料金を支払えば、マルチメディア・スクリーンをフォルクスワーゲンのミラー・リンクにアップグレード可能で、そうした結果あなたのスマートフォンの画面をスクリーン上に表示することも可能である。

また、ポロの内装は、今までどおり非常にシンプルかつ実用的で、高品質の樹脂パーツ、文句なしのドライビング・ポジション、満足するに足る前後のスペースとトランク・ルームも確保されている。

■「買い」か?

買い、である。手直しされた点が、さして目を引ことは無いにせよ、もともと素性がよいだけに購入に充分な理由は揃っている。新しい技術をして、経済性を引き上げることに成功したことも評価すべきポイントである。また、価格という観点においても確固たる競争力を持っていることを忘れないでほしい。