text & photo:Takahisa Takizawa (滝澤隆久)
秋田県の仙北辺りはエンスージァスト濃度がとりわけ濃い地域。数多くの名車や珍車、あるいは稀少車が熱心なオーナーの庇護のもとで生息している。そんな仙北地域に本拠を置く「西仙オールドカークラブ」と「秋田W1オーナーズクラブ」とが主催する旧車ミーティングが、『カー&バイク・ミーティング・イン・ユメリア』だ。通称「ユメリア」で親しまれているこのミーティングは今年が数えて第12回目。西仙北ぬく森温泉・ユメリアの駐車場で毎年4月の時期に行なわれており、本格的な旧車ミーティング・シーズンの開幕を告げるものとして、多くのファンが愛車を駆って参加する。イベントそのものは以前より聞いて知っていたレポーターだが、何よりも出掛けてみるのがイチバンだとして、今年初めて参加してきた。晴天のもと、集まったファンたちはあちこちで旧知の仲間と挨拶を交わし、今シーズンの旧車遊びを約束し合っていたのが印象的だった。
トヨペット・コロナ、いすゞベレット、日産スカイラインらが冬眠から目覚め、春の日差しの下に顔を揃えた。参加車の90%が国産車だ。
輸入車は新旧VWとミニ、MG Bが参加。アイボリーのビートル・カブリオレは、東北暮らしの長いオーバル・ウインドー時代の希少なモデル。
珍しや1978年型VWゴルフ1がやってきた。秋田は横手市在住のオーナーは、VWコラードのユニットをDIYで移植するという超エンスー。
2台並んだメッサーシュミットKR200は、角館から参加した佐藤清平さんの1958年型(右)と山形の酒田から自走の佐竹哲也さんの1961年型。
ハブ・ベアリングがお釈迦になり、会場で得意のDIY交換を楽しんでいた? 佐竹さん。パーツや必要工具一式を常に搭載して準備万端だ。
フリーマーケットではクルマ関連は無論のこと、昭和の雑貨などが“見つけた者勝ち”状態で並べられていた。東北ならではのアイテム多し。
“エレキは不良の始まりだ”なんて遠い昔に言われていた少年たちによる懐かしいオールディーズナンバーが演奏され、ギャラリーを大いに沸かせた。年季の入った演奏はさすがのレベル。
「西仙〜」クラブ代表の渡部政彦さんが所有する1960年型クラウンのワゴン。荷室の両サイドにセダンのテールフィンが付いている!! これは当時2台程が手作りされた個体とか。
何と第1回目からイベント参加という皆勤賞を誇る五十嵐清一郎さん(山形県鶴岡市在住)。1976年式のスプリンターは新車から維持しているワンオーナー車で、38年ものベテラン。
こちらは地元大曲市在住の辻原弘さん。愛車ダットラにDAXホンダを載せて参加。何とダットラは新車から所有するワンオーナー車。人もクルマもベテランが大勢居る西仙地区である。
日本車の参加が多い「ユメリア」。中でも日産車の比率は他のメーカーに大きく差をつけてダントツ。ブル510やハコスカ、ケンメリなどの人気車はギャラリーの注目度がことのほか高い。
古い2輪車もウエルカムなイベント。珍しい1959年型三菱のシルバーピジョンC-110型が由利本荘からオーナーのドライヴではせ参じた。三菱のモデルは博物館収蔵のレベル。稀少だ。
この角度から見ると何だか不思議なものにも見えるオート三輪車。フラリとやってきたのはダイハツのモデルで、ナンバー付き現役稼働のコンディション良好な個体。
スカイラインS54B、ホンダS600、ホンダNⅢ、N360…旧車ミーティングには欠かせない役者たちが揃った。地方のイベントでは元気な軽たちの極上車に遭遇する確率が高い。
「西仙〜」のメンバー、池田裕毅さん。愛車はスバル360.で、111というナンバーが熱心なスバリストの証拠でもある。いろいろとお世話いただきありがとうございました。