【詳細データテスト】メルセデス・ベンツEクラス・カブリオレ 実用4座 力強いエンジン 穏やかな走り
公開 : 2021.10.16 20:25
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
メルセデスは、21世紀的な雰囲気のクルマ造りをするメーカーで、Eクラスもその流れに沿っている。なめらかでフラットなLEDヘッドライトとジュエルのようにキラキラしたテールライトが、最近のアップデートで与えられた。同時に、新デザインのグリルとバンパー、ドーム状の盛り上がりがふたつ設けられたボンネットも備わり、ビジュアルにダイナミックさが増した。
メカニズム面で追加されたニュースは、プラグインハイブリッドの設定だ。セダンやワゴン、ガソリン+電力とディーゼル+電力、後輪駆動と四輪駆動を合わせれば、7タイプにものぼる。
クーペとカブリオレにPHEVは設定されなかったが、新たなエンジンが用意された。2.0L直4ガソリンターボに48Vマイルドハイブリッドアシストを組み合わせたものである。テスト車のE300に搭載された、コードネームM254がまさにそれだ。
このM254型ガソリンユニットは、メルセデスがほかの4気筒や6気筒で先行して導入してきた主要なパワートレイン技術を詰め込んでいるという。
ツインスクロールターボの一種であるセグメントターボチャージャーをはじめ、第2の小型電動ターボチャージャー、円錐シリンダーボア、シリンダーをコーティングするナノスライド、そして排ガス後処理システムの近接設置など。これらによって、より効率的な運転を可能にしている。
E300では、このエンジンは最高出力259ps、最大トルク37.7kg-mを発生する。最大トルクの発生回転数は1650rpmからだ。さらに必要とあれば、ハイブリッドアシストが瞬間的に15.3kg-mのトルクを発揮する。
メルセデスがCLKに代えてEクラス・クーペ/カブリオレを復活させたのは、もう10年ほど前のことだ。その第1弾はCクラスのプラットフォームがベースだったが、それに続く現行モデルで正真正銘のEクラスとなった。
ただし、生産拠点はEクラスの主力モデルと同じジンデルフィンゲン工場へは移さず、ブレーメン工場内の特別ラインを使い続けた。それでも、社外に生産委託をせず、ほかの市販モデルと同じ施設で製造しているカブリオレは今や珍しい。
英国仕様のEクラス・カブリオレは、4気筒と6気筒のガソリンとディーゼルを用意し、435psのマイルドハイブリッドを積むAMGの53がトップグレードとなる。4WDは6気筒に標準設定、4気筒ディーゼルのE220dではオプションで選択できる。しかし、エントリーモデルである今回のE300は後輪駆動のみだ。
いずれのモデルも、トランスミッションは9速AT。前後マルチリンクのサスペンションも全車共通で、AMG 53以外はスティールのコイルスプリングと、パッシブのフリークエンシー・セレクティブダンパーを装着する。