【製造時のCO2排出削減】ボルボ 化石燃料フリーの鉄鋼で新型トラック開発 来年生産開始
公開 : 2021.10.14 18:05
ボルボ・グループは鉄鋼メーカーと提携し、製鉄時のCO2排出量を抑えた鋼材による新車両を発表しました。
化石燃料を使わずに製鉄
ボルボ・グループは、サプライチェーンからのCO2排出量を削減するための取り組みとして、化石燃料を使わずに作られた鋼材による史上初の車両を公開した。
これは、サプライチェーンにおける排出量削減に向けた2つの取り組みのうちの1つとされている。ボルボによると、このトラックの重量の70%は鋼鉄と鋳鉄でできており、2040年までに気候中立目標を達成するためには、その生産を脱炭素化することが鍵となるという。
8.2トンの重量を持つこのトラックは、バッテリー式電動パワートレインを搭載し、自動操縦で走行する。来年には小規模な生産を開始し、その後、本格的な量産に移行する予定だ。
ボルボ・グループの社長兼CEOであるマーティン・ルンドステッドは、次のようにコメントしている。
「(鉄鋼メーカーの)SSABとの取り組みは、化石燃料フリーの未来に向けたベンチマークとなるものです。世界の国々がCOP26で気候変動に対処するために団結したように、組織や産業界も温室効果ガス排出のない未来のため、革新的なソリューションを開発するために協力しなければなりません」
「ボルボ・グループは、SSABとのこのような先駆的なパートナーシップにより、魅力的で安全かつ効率的な新しい車両や機械を開発し、より持続可能な交通・インフラシステムへの道を開くことを約束します」
サプライチェーン全体で排出量削減
鉄鋼メーカーのSSABの社長兼CEOであるマーティン・リンドクヴィストは、次のように述べている。
「SSABの化石燃料を使わない鉄鋼による世界初の実車が誕生したことは、まさに画期的な成果です。ボルボ・グループとの協力関係は、環境に配慮した移行が可能であり、結果をもたらすことを示しています。わたし達は、お客様に高品質の鋼材を提供すると同時に、最終顧客に至るまで気候変動への影響を削減していきます」
ボルボはまた、鉄鋼メーカーのOvakoとの提携の詳細についても発表した。Ovakoは、スウェーデンに新設した工場を利用して、圧延前に水素で鋼を加熱することを計画している。このモデルは、鉄鋼生産におけるCO2排出量を「大幅に削減」することが期待されている。また、このプロセスで発生する余剰水素は、地域の水素燃料電池車(FCEV)の動力源として使用される。
今年初め、ボルボの最高技術責任者であるラース・ステンクヴィストはこう語った。
「運送業界はパラダイムシフトを迎えており、グリーン水素は長距離・重量貨物の輸送業界において最も重要なエネルギーベクトルの1つとなるでしょう」
「鉄鋼業界での分散型水素製造は、化石燃料を必要としない輸送業界のニーズに非常にマッチしています。この技術的ソリューションは、世界の大部分の鉄鋼業界で使用できるため、拡張性があります。他の産業と連携して、輸送ソリューションに関わるバリューチェーン全体に関与することが不可欠です」