【リスペクトすべき進化】シボレー・コルベット C8 3LTへ試乗 ミドシップの衝撃 前編

公開 : 2021.10.22 08:25  更新 : 2022.08.08 07:23

NA V8エンジンは保ちつつ、ミドシップへと大変身を遂げたC8のコルベット。かつてない秀逸な操縦性を、英国編集部は評価します。

年間5万台のペースで生産されるC8

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
第8世代へと一新したシボレーコルベット。2019年末から生産は始まっていたが、ラインオフするペースはゆっくりだった。2020年に入ると新型コロナウイルスが本格的に流行。一部の業種を除き、順調な1年でなかったことは間違いない。シボレーも。

だがケンタッキー州ボウリンググリーン工場の生産ラインは、2021年は円滑に稼働している。年間5万台というペースで最新のコルベットが組み立てられている。その大多数は、北米市場にそのまま吸い込まれている。

シボレー・コルベット C8 3LTクーペ(欧州仕様)
シボレー・コルベット C8 3LTクーペ(欧州仕様)

スポーツカーとして、驚くべき生産台数だ。今年ポルシェが生産した911と、ジャガーが生産したFタイプを合算しても、追いつかない勢いでコルベットがオーナーへと渡っている。

しかし、スポーツカーというカテゴリーで、シボレーが世界的な尊敬を集めるのに充分なシェアを得たわけではない。ブランド戦略として、重要な意味を持つニッチな市場となってくる。

C8のコルベットが新しいレイアウトを採用し、技術的な進化を遂げたことはご存知だと思う。V8エンジンはミドシップされ、デュアルクラッチATが組み合わされる。アダプティブダンパーを備え、手動調整式のコイルオーバー・サスペンションも付く。

さらに右ハンドル車も用意される。かつてないほど、欧州のライバル勢と接近戦を繰り広げることになる。シボレーというブランドが、対峙するべき相手は多い。

Z51パフォーマンス・キットが標準

ケンタッキー州を旅立ったコルベットは、順調に輸出もスタートしている。サリー州にある英国唯一のコルベット代理店へも、11月には最初の右ハンドル車が届くという。バックオーダーは既に2023年まで抱えているそうだ。

個人的に並行輸入車を手配すれば、より早く運転できる可能性はある。だが正規ルートなら、適切な保障とアフターケアが付いた右ハンドル車を購入できる。日本でも販売は始まっている。

シボレー・コルベット C8 3LTクーペ(欧州仕様)
シボレー・コルベット C8 3LTクーペ(欧州仕様)

欧州仕様のC8の場合、シボレーのZ51パフォーマンス・キットが標準装備される。引き締められたサスペンションに強化ブレーキ、ショート化されたファイナルレシオ、エアロキットなどが付く。冷却系もアップグレードされる。

排出ガス規制のユーロ6に準拠させる都合で、アメリカ仕様並みの馬力は得られない。現地では502psを発揮するが、英国仕様では481psとなる。だが標準装備は充実しており、タイヤはグリップの効くミシュラン・パイロットスポーツ4Sが組まれる。

電子制御のリミテッドスリップ・デフも装備される。磁気粘性流体を用いたアダプティブ・ダンパーはオプションだが、試乗車には付いていた。

英国価格は、7万4200ポンド(1127万円)から。大胆なボディをまとう、500馬力近いV8ミドシップの2シーター・スポーツとしては、お手頃な価格設定といえる。

だが、2023年まで英国へ入ってくるぶんは売約済み。契約がこれからの人は、順番が来るのを待つしかない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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