【変化を求めるユーザーへ】DS 4 Eテンス 225へ試乗 1クラス上の上質 PHEV登場

公開 : 2021.10.27 08:25  更新 : 2022.08.08 07:22

静かで速く、洗練された走り

多くの台数が見込める4を、DSが英国市場の足がかりに考えていることが、薄利な価格設定からうかがえる。それでも、英国部門のトップを務めるジュール・ティルストーン氏によれば、ステランティスは目標以上の収益が得られているという。

DS 4がベースとするのは、ステランティス・グループで共有する最新のEMP2プラットフォーム。中型から大型のモデルに対応する骨格となる。サスペンションはリアがトーションビーム式の半独立懸架。DSの上位モデルが採用するマルチリンク式ではない。

DS 4 Eテンス 225 リヴォリ(欧州仕様)
DS 4 Eテンス 225 リヴォリ(欧州仕様)

DS 4に乗り込んでみると、細かなパネルまでフィット感が高い。ステアリングホイールやレザーシートのステッチは職人による手仕事で、ディティールの処理にも感心させられる。

デザイナーが意図したことは、クラスの主流モデルを超えた快適性や華やかさ、利便性を実現すること。筆者は達成できたと感じた。

一般道での走りは、静かで洗練されている。普通に運転している限り、PHEVのEVモードでの航続距離、48kmは実際にこなすことができそうだ。

駆動用バッテリーの残量が少なくなるか、ドライブモードでスポーツを選ぶと、ガソリンエンジンが始動する。だが気にならないほどエンジン・ノイズは静かで、ペダルを介して若干振動が伝わってくる程度。

0-100km/h加速は7.7秒と素早く、最高速度は233km/hがうたわれる。駆動用モーターが勢いのいい瞬発力を与えてくれ、数字通りに速い印象を受ける。中間加速でのトルクも非常に豊かだった。

変化を求めるユーザーへの選択肢

Eテンス 225で唯一気になったのが、ブレーキの感触に若干一貫性がないこと。回生ブレーキと摩擦ブレーキが組み合わされるため、PHEVでは珍しくないことではある。問題と感じるほどではないだろう。

乗り心地は全般的にソフトで穏やか。踏切を斜めに通過した時など不規則な入力が加わると、リアアクスルが少々落ち着きを保てないようではある。

DS 4 Eテンス 225 リヴォリ(欧州仕様)
DS 4 Eテンス 225 リヴォリ(欧州仕様)

ステアリングホイールの操舵感はかなり軽いが、スポーツ・モードを選択すると重みが増し、しっかりした手応えになる。筆者の好みはこちらの方だった。

ホイールは標準の19インチとオプションの20インチを試乗したが、大径ホイールは明確に凹凸のいなし方が硬くなる印象。視覚的にも大きな違いは感じなかったから、選ぶなら19インチで良さそうだ。

新しいDSというブランドを、本格始動させる役割を担うクロスオーバーの4。類を見ない個性的なスタイリングを備え、DSのモデルラインナップでも際立った存在といえる。しかも、ドイツ車とも明確に異なっている。

充実した装備や内装の仕立てを考えれば、価格価値にも優れている。ブランドイメージを確立したいDSにとって、印象的なデザインは非常に重要な意味を持つに違いない。

ドイツ・ブランドとは違う、変化を求めるユーザー層への訴求を狙うDS。そんな嗜好を持つ人にとって、この4は有力な選択肢になるはずだ。

DS 4 Eテンス 225 リヴォリ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万100ポンド(609万円/試乗車)
全長:4400mm
全幅:1830mm
全高:1490mm
最高速度:233km/h
0-100km/h加速:7.7秒
燃費:64.8-82.1km/L
CO2排出量:27-35g/km
車両重量:−
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:180ps/6000rpm(ガソリンエンジン)/108ps(電気モーター)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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