【2度目の大変革】BMW 生まれ変わった3シリーズEV、新時代を切り開く 「第2のノイエクラッセ」

公開 : 2021.10.18 19:05

新しいスタイリング美学を提案

新プラットフォームでは、CLARのセンタートンネルを廃止してフラットフロア構造を採用したほか、ホイールベースを大幅に延長してAピラーを前方に出すことで、インテリアのパッケージングを改善している。

「人々は異なる美学を求めています。だからこそ、わたし達は電動モデルのために新しいスタイリングの方向性を打ち出したのです」とウェーバーは説明する。

BMW i3
BMW i3

NK1は、アルミニウムと高強度鋼のプラットフォームベース、シルなどに炭素繊維強化プラスチックを使用した「ケージ」構造のボディ、アルミニウムやスチール、複合プラスチックを組み合わせたボディパネルなどを採用している。パワートレインは、同期電動モーターを使用した第6世代が搭載される見込みだ。

BMWは、パワートレインに関する専門知識と必要な生産量を部品メーカーに依存している多くのライバル社とは異なり、電気モーターの開発と生産能力をいち早く内製化した。ウェーバーによれば、これが迅速な対応を可能にしているという。

「わたし達は、現在使用しているものよりもさらに効率的でパワフルな電気モーターを開発しています」

彼はまた、NK1の標準モデルだけでなく、高性能のMモデルにも搭載可能であることを明らかにした。

電動化だけでなく持続可能性にも焦点

新しい電気モーターに加えて、ノイエクラッセでは、ポルシェタイカンアウディeトロンGTで初めて採用された800Vバッテリー技術と350kWの充電機能が導入される。

ウェーバーは、新しいバッテリーの具体的な詳細については言及しなかったが、BMWが将来のノイエクラッセモデルに使用するために、さまざまな化学プロセスやセルタイプをテストしていることを認めた。

BMW iビジョン・サーキュラー
BMW iビジョン・サーキュラー

「固体電池が10年後まで実現しないことはわかっています。BMWは、エネルギー密度を高めて航続距離を伸ばします」

iXに採用されている最新世代のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーは、105.2kWhの大容量を誇り、航続距離は最大497kmに達する。BMWは第6世代の電気モーターと新しいパワーエレクトロニクス・システムとの組み合わせにより、効率を20%向上させることを目指しており、NK1の航続距離は700km以上になると期待している。

車内では、先月のミュンヘン・モーターショーで登場した「iビジョン・サーキュラー」コンセプトで示された「循環型経済」戦略に沿って、多くの内装材が調達される予定だ。

詳細は不明だが、ウェーバーは、次世代EVでは持続可能性目標を達成する手段の1つとして、再生プラスチックを使用した内装を挙げている。

BMWによれば、同社の電動化戦略の第一段階は2013年のi3から始まり、第二段階は最近発表されたiXから始まっているという。NK1の登場は、その第三段階の始まりとなる。

BMWは、2030年までにノイエクラッセ・プラットフォームを採用したEVが全世界の販売台数の少なくとも50%を占めるようになると予想している。同時期には既存の15のモデルラインそれぞれに少なくとも1つのEVを導入する予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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