【今へと続く成功】ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ) 英国版中古車ガイド

公開 : 2021.10.29 08:25

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ダンカン・パーシー:ザZファーム社代表

「現在の英国には、レストアに値する右ハンドル車は殆ど残っていません。英国の冬を45年も過ごしてきた240Zの多くは、妥当なレストア費用で直せる以上に、ボディが傷んでいるためです」

ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)
ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)

「そんなクルマを部品取り車にし、雨の少ないカリフォルニアやアリゾナなど、北米から仕入れた240Zを仕上げることが多いですね。10年前なら悪くない右ハンドル車を7000ポンドから9000ポンドで仕入れ、直して利益を得ることもできましたが」

「今では、その3倍は費用が必要でしょう。もちろん、アメリカからの輸入にもリスクはあります。でも、宝石のように状態の良い例を発見できることもあります」

「英国へ輸入して公道を走れるまでに、北米での車両価格の倍近くには膨らみます。1万5000ポンド(232万円)から2万ポンド(310万円)くらい。送料と関税が掛かりますからね」

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

240Zはどの角度から見てもカッコいいが、目も当てられないほどサビが進行している場合がある。バッテリートレイやフロントフェンダー下部、スペアタイヤの収納部分、テールリッドやフロアパンが特に弱点。

養生をした磁石をボディに当ててみることで、塗膜の内側が鉄板かどうかがわかる。パテや分厚い塗装が施されている場合、くっつきにくい。

ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)
ダットサン240Z(S30型/日産フェアレディZ/1969〜1978年/英国仕様)

ボディパネルは、ザZファーム社など専門ガレージが再生産してくれている。その他のトリム類は、北米市場から探すことになるだろう。

エンジン

直列6気筒エンジンはチューニングしやすいが、馬力を高めることは、ストレスを加えることでもある。パッケージとしてバランス良くアップグレードする方法が良い。

アクセルレスポンスが冴えなかったり、ミスファイアや不安定なアイドリングは、キャブレターの不調が原因だろう。油圧が異常に低い場合は、センサーの不具合かもしれない。

エンジンファンはグリススプレーでスムーズさを取り戻す場合もあるが、新しい電動ファンに置き換えた方が得策。

電気系統

ディストリビューターは240Zの弱点の1つ。バキュームホースの反対側から空気を吸い、内部プレートが滑らかに回転し、元の位置に戻るかどうかで状態を確かめられる。

キーを捻って始動しない場合、スターターソレノイドの故障かも。だが、ステアリングコラム内のイグニッションスイッチが原因の可能性もある。こちらの方が交換しやすく部品も安価だ。

コネクターの接触が悪くなると、ヒューズが飛ぶ。専門店が販売しているアップグレード版のヒューズボックスは、手っ取り早く一式を一新できてオススメ。

トランスミッション

英国仕様には5速MTが存在したが、北米から輸入する240Zは4速MTの場合が多い。どちらも堅牢なユニットとはいえ、2速と5速に入れる際のシンクロメッシュの状態はチェックポイント。ベアリングの摩耗状態も、聞き耳を立てて確認したい。

走行中にリアから聞こえる唸り音は、デフが原因だろう。摩耗が進んでいなければ、あまり心配する必要はないはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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