ロータス・エリーゼ シリーズ1かシリーズ2か ヘセルを救った傑作スポーツ 中編

公開 : 2021.11.06 07:06

ロータスの再生を象徴したモデル、エリーゼ。誕生から25年が過ぎ、クラシックとしての道を歩み始めたスポーツカーを英国編集部が堪能しました。

沢山の派生版が誕生したエリーゼ

執筆:Jack Phillips(ジャック・フィリップス)
撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1995年に発売が始まったロータス・エリーゼ・シリーズ1。初めに生まれた派生版が、100台限定のスポーツ135。すぐに可変バルブタイミング機構を備えた、145psの111Sが続いた。

驚かされたのが、サイクルフェンダーをまとった340R。ラッセル・カー氏のデザイン案に、非常に似た限定モデルだった。ロードスターだけに留まらず、クーペボディのエキシージも誕生している。

イエローのロータス・エリーゼ・シリーズ1と、オレンジのエリーゼ・シリーズ2 SC
イエローのロータス・エリーゼ・シリーズ1と、オレンジのエリーゼ・シリーズ2 SC

エンジンは1.8L 4気筒のローバーKシリーズ。MGFに搭載されていたユニットだが、軽量なエリーゼに積まれたことで、フィーリングはより活発。ヘッドガスケットの不具合など、歓迎されないイメージも引き継がれたけれど。

ただし、今回ご登場願ったイエローのエリーゼには無縁のようだ。「聞いていた情報が信じられないほど、とても信頼性は高いですよ」。と笑顔で答えてくれるのは、ジョン・マクステア氏。ヘセルで61番目に作られたシリーズ1のオーナーだ。

「もし同じKシリーズでも、フリーランダーなど別のモデルのオーナーは、ただ乗ってキーをひねるだけ。でもエリーゼのオーナーの場合は、ある程度のメカニズムに関する知識や、理解しようという気持ちがあります」

「オイルレベルを確認し、すべてが適正な温度に上昇するまで待つのも普通。スーパーカーと同等の注意を払って乗るはずです。それが理由でしょうね」

彼がエリーゼ・シリーズ1を購入したのは18年前。ロータス・エンスージァスト・オーナーズクラブ、SELOCのメンバーのなかでも、選りすぐりのエリーゼ・ファンだ。

低速域での楽しさはひとしお

「以前から大好きでした。ある週末にエリーゼを借り、運転して数時間後にはこれを買わなくては、と考えていたんです。3年以上連続して所有している唯一のクルマ。体が動いて乗り降りできる限り、所有し続けようと思っています」

「エリーゼに乗るのは週末だけ。妻は一緒に乗ってくれないので、いつも1人でのドライブです。自分だけの時間が作れる時は、エリーゼを連れ出します。攻め込んだ運転はしませんが、かといってダラダラ走ることもありません」。とマクステアが話す。

イエローのロータス・エリーゼ・シリーズ1と、オレンジのエリーゼ・シリーズ2 SC
イエローのロータス・エリーゼ・シリーズ1と、オレンジのエリーゼ・シリーズ2 SC

「安全に活発に走らせることができる、郊外の道を選びます。そんな場所では、エリーゼが本当にイキイキとするんです。ワインディングを思いきり楽しんでいる最中、スピードメーターを見ると速度は90km/hほど。低速域での楽しさはひとしおです」

「30km/hから50km/hでも、楽しめる場合もあります。乗り込むのはちょっとしたイベントですが、こんなクルマは他にありません。シンプルな運転環境も特別です」

「道を問わず、運転する道具として、わたしが所有してきたクルマのベスト。アストン マーティンも好きでしたが、1台を手放すことになってお別れしたのは、アストンでした」

OAHのナンバーもオリジナルのまま。ショックアブソーバーもコニ社製のままだ。「このクルマ並みの状態のエリーゼは、英国に5台程度でしょう。通常、寿命の長い社外品に交換されますから」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・フィリップス

    Jack Phillips

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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