ロータス・エリーゼ シリーズ1かシリーズ2か ヘセルを救った傑作スポーツ 後編
公開 : 2021.11.06 07:07 更新 : 2021.11.06 08:17
公道では唯一無二の軽さと鋭さ
センターラインに打たれたキャッツアイをタイヤで舐めても、シリーズ2なら揺れや振動音が小さい。シリーズ1とは異なり、充分な防音材が備わる。
もちろん、一体感や落ち着きは保たれている。コーナーの途中でアクセルペダルの角度を調整すれば、前後タイヤに掛かる荷重を自在に操れる。ステアリングホイールには、軽く触れていれば良い。その感触も素晴らしい。
どちらのオーナーも、エリーゼで長距離旅行は楽しんでいないという。でも、驚く事実ではないだろう。荷室と呼べる部分は、エンジンの後ろに用意されたクーラーボックス程度の空間だけ。
ソフトトップを積んでしまうと、荷物用の空間は殆ど残らない。エリーゼ好きのオーナーが、ソフトトップを閉じて走らせるとも考えにくい。
エリーゼを存分に楽しむのに、人里離れた遠くまで足を伸ばす必要はない。いつもの速度域で味わえる。長距離旅行を楽しみたいなら、エヴォーラとセットで所有するのが良い。どちらも大切に維持したくなるはず。
ロータスを救った傑作ライトウェイト
バリエーションは多岐にわたるが、今回ご登場願ったエリーゼは、シリーズ1とシリーズ2の特長を端的に表す例だろう。コーナーの頂点を追い求めて手軽に遊びたいなら、オリジナルのシリーズ1がベストだ。
その軽さと鋭さを併せ持つモデルは、公道では唯一無二。やや時代を感じさせる見た目が、クラシックカーとしての魅力も追加している。一方でもう少し高い速度域で、崇高なシャシーを過度な努力なしに味わいたいなら、シリーズ2のSCが良い。
2台のどちらを選ぶべきか。その日の気持ちや、走りたい道で変わってくる。シリーズを問わず、ロータス・エリーゼのオーナー以上に、毎日が満ち足りているクラシックカー・オーナーは存在しないのではないだろうか。
間もなくエリーゼは、本当に生産が終わってしまう。だがロータスを救った傑作ライトウェイト・スポーツカーは、長かったモデルライフ以上に今後も語り継がれるはずだ。
ロータス・エリーゼ シリーズ1と2のスペック
ロータス・エリーゼ・シリーズ1 1.8i(1996〜2000年/英国仕様)のスペック
英国価格:1万8950ポンド(新車時)/2万5000ポンド(380万円)以下(現在)
生産台数:8613台(1.8iのみ)
全長:3726mm
全幅:1820mm
全高:1202mm
最高速度:199km/h
0-97km/h加速:5.5秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−
車両重量:723kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:119ps/5500rpm
最大トルク:16.8kg-m/3000rpm
ギアボックス:5速マニュアル
ロータス・エリーゼ・シリーズ2 SC(2007〜2011年/英国仕様)のスペック
英国価格:3万2550ポンド(新車時)/3万ポンド(456万円)以下(現在)
生産台数:1402台(SCのみ)
全長:3785mm
全幅:1850mm
全高:1117mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:4.3秒
燃費:11.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:870kg
パワートレイン:直列4気筒1796ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:220ps/8000rpm
最大トルク:21.5kg-m/5000rpm
ギアボックス:6速マニュアル