【詳細データテスト】ルノー・アルカナ 意外な広さ ハイブリッドは燃費良好 質感と快適性には妥協も
公開 : 2021.10.23 20:25 更新 : 2021.12.21 15:49
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
クロスオーバーハッチバックに、一体感を味わえるドライバーズカーを期待することはないだろう。ところがルノーは、アルカナにそれなりのハンドリングの正確さとバランス、そして全般的なレスポンスのよさを与えた。
ステアリングはほどよいギア比で、ロックトウロックは2.6回転。やや軽めだがナチュラルで、リニアな反応をみせる。215セクションのクムホ製タイヤはそれなりにグリップし、自信を持って市街地を駆け抜けたり、曲がりくねったB級道路を走り回るのに十分な俊敏さを発揮する。
ミルブルックの山岳路を模したテストコースで飛ばすと、アルカナはこの手のクルマの中では活きのいいほうのハンドリングを見せつけ、テスト時の滑りやすい路面状況では、ときとしてスロットルオフでオーバーステアが顔をのぞかせた。
挙動は安全志向で、スタビリティコントロールの制御はどことなく不器用だが、ほとんどのドライバーはその傾向に気づくこともないだろう。高速出口を間違えたようなときに、不注意なドライバーは怖い思いをするかもしれない。
しかしながら、はっきり感じられるシャシーバランスといい意味での無感覚さからくる控えめな身のこなしは、そうだとわかるとうれしくなるような類いのものだ。
濡れた路面での制動性能は、113km/hからのフルブレーキが完全制止まで56.7m、97−0km/hのタイムが3.07秒。キア・ニロ・ハイブリッドやヒュンダイ・ツーソン・ハイブリッドを上回るものの、まったくドラマティックなところはなかった。
そのうえ、メガーヌEテックでは怖くなるくらいソフトで、ストロークが長かったバイワイヤ式ブレーキペダルだが、アルカナではそういう問題はなかった。その代わり、しっかりしていて十分な安心感があり、調整するのも楽で、スムースにクルマを止めることができる。