【モデル3のクロスオーバー版】新型テスラ・モデルYへ試乗 クラストップの実力 後編

公開 : 2021.10.31 08:26

モデル3でヒットを飛ばしたテスラによる、売れ筋ラインの第2段。満を持して登場したコンパクトSUVのモデルYを、英国編集部が評価しました。

どのメーカーよりタッチモニターを活用

執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
テスラモデルYのステアリングホイールやペダル類以外のインターフェイスは、ダッシュボード中央の15インチ・タッチモニターに集約されている。走行速度の確認も、グローブボックスの開閉も、このモニターを介することになる。

出発前には、ドアミラーやステアリングホイールの角度を調整したいと考えるはず。モデルYの場合は、モニターのメニューをタップして機能を選び、ステアリングホイールのダイヤルを回して変更できる。

テスラ・モデルY ロングレンジ(欧州仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジ(欧州仕様)

手に力を入れる必要はほぼないし、個別のレバーやボタンを与えるより安価に作れるのだろう。テスラの理論は充分に理解できる。

反面、いくつかの操作では従来的なダッシュボードのボタンより、複雑なメニューを掘り下げる必要もある。特にエアコンの温度調整には、独立したダイヤルが欲しいと思う。

ただし、テスラ並みにタッチモニターの表示がきれいで、活用できている自動車メーカーはないことも事実。高精細で画面のレイアウトも整っている。反応も素早い。

ナビの設定も簡単。テスラが展開する急速充電器、スーパーチャージャー・ネットワークとの連携も素晴らしいと感じた。

少々磨きの足りない乗り心地

テスラであと少しだと感じた部分が、従来的な動的性能に関する技術面。電気モーターはスムーズに加速し、線形的でレスポンスも優秀。だが、アクセルオフで大きな減速感を得られるものの、日産リーフのようにワンペダル・ドライブはできない。

モデルYはAT車のように緩くクリープ走行し、MT車のように滑走もできる。停止中にブレーキペダルから足を放せる、オートホールド機能もついている。この制御は好印象。ステアリングホイールの重み付けも変えられる。

テスラ・モデルY ロングレンジ(欧州仕様)
テスラ・モデルY ロングレンジ(欧州仕様)

乗り心地は、あまり巧みとはいえない。19インチ・ホイールを履いたモデルYを試乗してみたいところだ。ボディ剛性が特段高いような印象も受けなかった。

20インチ・ホイールの場合でも、慣れることができないほど強い揺れが侵入するわけではない。でも、洗練性に影響があることは間違いない。19インチで充分だと思う。

純EVの場合は駆動用バッテリーで車重が重くなり、姿勢維持のために硬めのアンチロールバーを与えたくなる。そうすると、左右のサスペンションの独立性が低められ、乗り心地も悪化してしまう。

反面、純EVは重心位置が低いため、過度に硬いアンチロールバーは実際には必要ない。つまり、左右の独立性を奪う必要性は低いといえる。一部のメーカーは、この加減がうまい。特にポルシェは、タイカンの足まわりを適正に設定していると思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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