【なぜ危険?】違法チャイルドシート「後付け」ISO FIX部品 国交省、公式に注意 あらためておさらい
公開 : 2021.10.23 05:45 更新 : 2022.03.25 18:49
同じクルマでも欧州仕様は助手席ISO FIX
なお、輸入車では少し事情が異なる。
例えば先日試乗したシトロエンC5エアクロスは、助手席にISO FIX金具がついており、同じシトロエンの人気ミニバン「ベルランゴ」は2列目シートの3席分すべてにISO FIX金具が装備されている。(いずれも非常に珍しい)
基本、日本の自動車メーカーは日本のユーザーに対して「助手席チャイルドシートは極力やめて」というスタンスなので助手席にISO FIX金具をつけることなどありえないのだが、実は例外もある。
トヨタGRスープラは欧州で製造されることもあって助手席にISO FIX金具が装備されている。
マツダ・ロードスターも日本仕様にはないが、欧州仕様は助手席に装備される。
なお、後ろ向きでの使用がマストな乳児用(ベビーシート)はベルト固定でもISO FIX固定でもエアバッグのある席への装着は禁じられているので要注意だ。
欧州車や欧州仕様車にはほとんどの場合、グローブボックスの中などに「エアバッグのON/OFFスイッチ」が装備されている。
ということで、ふだんからISO FIX対応のチャイルドシートを使用して、金具の意味や強度をよく理解している人にとっては、「後付けISO FIX? 何それ? ありえない!」と、その異常さが理解できるだろうが、ISO FIXチャイルドシートについて知識がない人たちにとっては以下のような認識が普通になってしまうだろう。
「うちのクルマは古くてISO FIX金具がついてないけど、後付けの金具をつければISO FIXチャイルドシートが使える!」
「2列目にはISO FIXがついてるけど、3列目でISO FIXチャイルドシートをつけたいから、後付けがあって便利」
いずれも危険で誤った認識だ。
後付けISO FIXは「フェイク」ISO FIX
ISO FIX固定のチャイルドシートは、チャイルドシート側の金具をクルマ側の金具にガチャッとはめ込むだけで、確実な取り付けができるため、シートベルト固定に比べて各段に速く簡単で確実な装着ができるのがポイントだ。
パパ車、ママ車、実家車など付け替えが多い場合も便利で安全性が高いことから、近年急速に販売シェアを伸ばしている。
しかし、ISO FIX金具がついていない席には取り付けができない。その場合はシートベルトで従来通り、固定するしかない。
間違っても、安全性がまるで担保されていない、安全性ほぼゼロと言っても過言ではない後付けISO FIX金具をつけてまで使うことがないように気を付けて欲しい。
なおISO FIXの金具については強度や取付位置等が道路運送車両法第22条5-2にて定められているがもちろん、後付けに対する基準などは存在しない。
一見すると、普通にISO FIX金具がついているシートのように見え、ここにチャイルドシート側の金具をはめ込めば、ISO FIXチャイルドシートが装着されているように見える。
しかしこれは完全なフェイクだ。
シートベルトの代わりにガムテープを体とシートに貼り付けて固定しているようなもので、事故の激しい衝撃に耐えられることは絶対にない。
急ブレーキ程度の衝撃でもシートから外れて、チャイルドシート本体ごと転がり落ちる危険性も十分にある。
中に座っている子どもが大けがをしたり死亡したりする危険性も十分だ。
ISO FIX金具を支えるのはクルマのシートであって、フロアやピラーなど何tもの衝撃に耐えうる剛性の高い部分に溶接されているわけではないからだ。
大事なわが子の命を怪しいISO FIX金具に奪われることがないよう、周囲に使っている人がいたら注意してあげて欲しい。