【白昼堂々盗んでいく】現代の車両犯罪 新しい手口、海外では恐れ知らずの犯行も
公開 : 2021.10.24 06:05
リレーアタック
車両盗難の手口として、最近よく知られるようになったのがリレーアタックだ。その手順としてはまず、窃盗犯はドアに装置を当てて、クルマが発信するセキュリティ信号を増幅させる。また、所有者の家の近くに置かれた装置によってキーのペアリング信号を中継し、ドアを開けてエンジンを始動させるものだ。リレーアタックは、所有者の家のすぐ近くで行われることが多い。さらに、ドアベルの映像が証拠として残らないように、家のWi-Fiを無効にするケースも出てきている。
NPCCによると、2021年5月から6月にかけての車両犯罪の増加のうち、リレーアタックが大きな割合を占めているという。2020年に車両追跡会社のTracker社が「盗難」と記録した車両のうち、93%がリレーアタックにより盗まれたという事実から、その規模の大きさがわかるだろう。
ありがたいことに、自動車メーカーも対応を進めている。フォードは2019年、使用していないときには無効になる「スリーピング・キーフォブ」を導入し、今年初めには導入車種を拡大した。この技術はリレー装置で作動させることはできない。導入以来、フォード・フィエスタの盗難件数は3分の2減少したという。
この他にも、オンボード診断ポートを使って電子機器を調整したり、エンジン・コントロール・ユニットを交換したりすることで、電子的な盗難の防止を図ることができる。窃盗団が使用する装置の多くは、オンラインで購入することができる。
喜ばしいことに、窃盗犯にはおよそ「名誉」などというものは存在しない。とあるセキュリティ関係者は、次のように語っている。
「ある人物が1万2000ポンド(約190万円)で購入したシステムを使って、新車のレンジローバーに侵入したという報告がありました。しかし、侵入はできたものの、エンジンをかけるためのファームウェアが入っていませんでした。彼は今、アップデートのためにデバイスを返品しても、戻ってこないかもしれないと心配しているようです」
●リレーアタック対策
1. キーレスエントリーを装備している場合は、システムを無効にできるかどうかを確認し、無効にできない場合はソフトウェアのアップデートで可能になるかどうかを確認する。
2. キーを保管するときは、金属箔を貼った缶などに収納して信号を遮断する。
3. ECUセキュリティクレードルを装着する。
4. ハンドルロックなどの物理的ロックを装着する。