【なぜ?】新型三菱アウトランダーPHEV 開発者が語る「超絶進化」遂げた秘密
公開 : 2021.10.29 05:45
敢えての舗装路 SUVの域こえた走り
新型アウトランダーPHEVが超絶進化したのは、デザインや質感のみではない。
最も驚いたのは走りの部分。とくに、コーナリングの安定感だった。
この試乗会がおこなわれたのは、袖ヶ浦フォレストレースウェイ。
悪路での走破性の高さにこだわりも持つ三菱の新型SUVに試乗するために用意されたのは、舗装されたロードコースのサーキットだったのである。
そのため今回、悪路を走る機会は一切与えられなかった。
そんな、メーカー自身が計画した試乗プログラムからわたしは、「まあプロトタイプだし、なんとなく、進化したPHEVの走りを感じてもらえれば」程度の、メディア向けお試し会レベルの位置付けなのかなと思いながらも、5人乗りのGグレードに乗り込み、コースイン。
ワンクラス上の上質感が追求されたという言葉通り快適な室内に少し感動しながら、アクセルを踏み込んで行くと、キュイーンというEVならではの走行音とともに、思いどおりの加速を得ることができた。
SUV特有の車高の高さも相まって、視界も良好。小回りも利くため、運転をしていると見た目ほどの大型化を感じることもない。
そして何より驚いた、コーナリングの安定感。
サーキットだからとフル加速して、少し不安になるぐらいのオーバースピードでコーナーに進入しても、クルマの挙動が一切乱れないのだ。
それは、「だから、新型アウトランダーPHEVの試乗会場に、サーキットを選んだのか」と、理解した瞬間だった。
もちろん、現行モデルもそれなりに走りは良く安定感は高かったが、今回の新型はその比ではない。
ドライバーがいくら荒い操作をしても、すべてを先回りして修正してくれるような、安心感が得られたのだ。
ここまで「いいクルマ」になったワケ
ビジュアル、マテリアル、そして走りまで、全方位で驚くべき進化を遂げた新型アウトランダーPHEV。
そのなかでも、走りの安定感をここまで高めた要因は一体どこにあるのだろうか。
開発担当者は次のように説明する。
「今回はプラットホームを刷新し、剛性を30%アップ。土台がさらにしっかりとしたことで、専用にチューニングしたサスペンションの働きも良くなりました」
「さらに幅を広げた20インチタイヤを採用した点も安定感に貢献しています。また、弊社(三菱)の四駆技術であるS-AWCをほぼ作り変え、制御の方法と組み合わせを増加させました」
「従来モデルでは前輪のみだったブレーキ制御を後輪にも追加し、前後輪の分散制御にすることで、細かい制御が可能となり、タイヤの状況など、さまざまな走行状態をピックアップするセンサーの速度も格段に向上しています」
「きめ細やかな四輪制御か可能となったことで、ドライバーの操作をクルマの方が素早く正確に修正してくれるようになりました」
試乗時間が10分×2本と、比較的少なかったこともあるかもしれないが、批判するポイントが浮かばないほど、驚くべき進化を果たしていた新型アウトランダーPHEV。
本当に、いいクルマに仕上がっていると思う。
一方で、この電子制御による完璧なサポートは、誰が運転しても同じ挙動となることを意味し、運転好きから見ると、とてもつまらないクルマになったといえるかもしれない。
そして最大の問題は、上質感、ボディサイズ、走り、どれを取っても、従来型モデルのフルモデルチェンジではなく、別のクルマであるという事実。
これほどの進化となると、値上げは必至だろう。
そうなれば、現行アウトランダーPHEVのポジションは、いったいどうなるのだろうか。
価格が明らかになった後に、あらためて聞いてみたいと思う。