【電動化のジレンマ】次期マツダMX-5(ロードスター) 最新エンジン技術採用の可能性 EV化は?
公開 : 2021.10.25 20:25 更新 : 2021.10.25 20:30
環境を気にせず乗れるクルマに
MX-5がスカイアクティブ-Xに対応するように一から設計し直された場合、スカイアクティブ-Gを引き続き採用するかどうかは疑わしい。そのため、次期MX-5では1つのエンジンをさまざまなチューニングで搭載することになるだろう。
しかし、エンスージアスト(クルマ好き)をターゲットにしていることから、マニュアル・トランスミッションは残ると思われる。
よりクリーンな燃料を使用する新技術を導入すれば、ガソリン車の寿命を延ばすことも可能だが、最新のスカイアクティブ-Xにはベルト駆動のマイルド・ハイブリッドシステムが搭載されており、電気モーターのような重量増を伴うことなく、CO2排出量をわずかに削減することができる。
マツダの常務執行役員でありデザイン・ブランドスタイル担当の前田育男氏は、MX-5の将来性についてAUTOCARに次のようなジレンマを抱えていると語っている。
「車両の軽さを維持するために最適なパワートレインを検討したいのですが、ニーズや好みが多様化しているため、さまざまな選択肢を検討する必要があります」
さらに、次期MX-5は、「環境に優しくないことを気にせずに所有できる」クルマでなければならないと述べている。
MX-5のような小型スポーツカーは、パッケージングに制約があり、なおかつ軽量であることが重視されるため、現在の技術では本格的な電動化はほとんど実現できていない。
生産時の排出ガスを最小限に抑えるために、EVには小型のバッテリーのみを使用するというマツダの理念に従ったとしても、現在のバッテリーセル技術を採用した「MX-5 EV」は、現行モデルよりもはるかに重いクルマになってしまう。MX-30は35.5kWhの小型バッテリーを搭載しているが、車重は現行のMX-5コンバーチブルよりも500kgほど重い。
スタイリングに関しては、3やCX-30、MX-30に影響を与えたビジョン・クーペ・コンセプトのデザイン要素を採用すると考えられる。シャープなLEDヘッドライトや新形状のフロントグリルが採用されるだろうが、MX-5の親しみやすさを変えないように、露骨にアグレッシブなデザインは避けることは間違いない。
また、インテリアにも改良が加えられ、最新のインフォテインメント・システム、デジタルメーター、洗練されたスイッチ類など、新時代のダッシュボードデザインが採用されるだろう。
このモデルの詳細については、近いうちに発表される見込みだ。なお、マツダは発売日を明らかにしていない。しかし、これまでのMX-5のライフサイクルを考えると、2024年頃に発売されると予想される。
ロータリーエンジン復活とPHEV
MX-30の航続距離は主流となっているEVの中でも非常に短い部類に入るが、BMWがi3で採用していたように、ガソリンエンジンを搭載してレンジエクステンダー(発電機)として使用することで、航続距離を伸ばそうとしている。
注目すべきはこのガソリンエンジンで、2012年に生産を終了したRX-8以来、市販車に採用されていないロータリーエンジンを復活させるのだ。マツダは、このレンジエクステンダー方式を来年初頭に欧州に導入する予定。
新型クロスオーバー車のCX-60と7人乗りSUVのCX-80には、従来のガソリン・電気のプラグイン・ハイブリッドシステムが搭載され、2024年までに欧州で発売されることが決定している。これは、戦略的パートナーであるトヨタのRAV4 PHEVに採用されているシステムをベースにしたものと考えられる。
CX-60とCX-80には、欧州市場のマツダ車としては初めて、新型の直列6気筒ガソリンエンジンのスカイアクティブ-X(およびディーゼルのスカイアクティブ-D)が搭載される。