ラム1500 TRXへ試乗 ヘルキャット用6.2L V8 712psの怪獣 パワー競争再燃か
公開 : 2021.11.02 08:25 更新 : 2021.11.02 11:49
さらにダイナミックになるバハ・モード
特にTRXらしいのが、最もダイナミックなバハ・モードだろう。走りをアシストするすべての電子システムの介入が弱くなり、ZF社製の8速ATは変速がクイックに変化。ステアリングのレスポンスもシャープに変わる。
加えてビルシュタイン社製のブラックホークe2と呼ばれるアダプティブダンパーは、大幅にソフトな状態になる。この状態で、カリフォルニアの荒れ地を疾走してみたい。またドライブモードは、ドライバー好みにカスタム設定も可能となっている。
バハ・モードを選択すると、スポーツカーのスポーツ・モードと同様にエグゾーストシステム内のバルブが全開になり、ボリュームも増大。欧州の騒音規制を満たすために、ラムが加えた改良を無効にしてくれる。
バルブが開いた状態の咆哮は、まさにティラノサウルス・レックスが怒り狂ったかのよう。周囲の人を驚かせる以上の効果がありそうだ。
一方でカーボンファイバーやクローム、レザーなどで仕立てられたインテリアはラグジュアリーで、深いバケットシートの座り心地は抜群。運転している限り、1500 TRXの後方から大音量が放たれていることにも、気付かないかもしれない。
1500 TRXには、エンジンの回転数を4500rpmに固定してスタートダッシュに備える、ローンチコントロールも付いている。ブレーキペダルを放せば、ワープするような勢いでヘッドアップ・ディスプレイの速度計の数字が増えていく。
快適な車内に、驚かされるほどの悪路性能
見た目を裏切るほどの快適な車内と、驚かされるほどのオフロード性能を持つラム1500 TRX。舗装路だけでなく山でも川でも砂漠でも、ひと回り小さなトラックのように、パワーを生かして軽快に走れる。
他を圧倒するパフォーマンスと高度な技術が落とし込まれていながら、TRXはラムのピックアップ・トラックとして、しっかり働き者でもある。牽引力と積載量にも不足はない。
自動車メーカー間のパワー戦争は、環境への配慮が求められる中にあって、すっかり穏やかになっていた。だが昔を懐かしむように、ラムはTRXで、これみよがしにフォードへ仕掛けてきた。数字の大きさと見た目の派手さが、強さの象徴だった時代がよみがえる。
英国や日本で課題となることといえば、まず、場違いなほど大きいボディだろう。何しろ全長は6m近く、全幅は2.2mを超える。
ラム1500 TRX(欧州仕様)のスペック
価格:7万ポンド(1085万円/予想)
全長:5915mm
全幅:2235mm
全高:2055mm
最高速度:189km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:4.5km/L
CO2排出量:506g/km
車両重量:2880kg
パワートレイン:V型8気筒6166ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:712ps/6100rpm
最大トルク:89.7kg-m/4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック